[2016_06_28_04]「濃度減衰まで170年」 汚染土 公共利用で環境省非公開会合 津波で崩壊、流出指摘も(東奥日報2016年6月28日)
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染廃棄物を巡り、放射性物質濃度が基準以下となった土などを全国の道路や防潮堤などの公共工事で再利用する環境省の方針について、同省の非公開会合で「再利用後、放射性物質として扱う必要がなくなる濃度に減衰するまで170年かかる」との試算が議論されていたことが27日、関係者への取材で分かった。
 環境省の担当者は「工事完了後も管理し、年数で区切ることは考えていない。今後実証試験などを通じて適切な方法を確立する」としているが、補修の際の具体な対応策などは決まっていない。
 専門家からは、防潮堤に使った場合は津波で崩壊し、放射性物質が流出する可能性があるとの指摘が出ている。
 安全性の面で、長期的な管理が必要な物質を一般の環境で利用することの是非があらためてとわれそうだ。
 方針は、道路や防潮提などの公共工事に利用先を限定し、工事中の作業員や周辺住民の年間被ばく線量が1ミリシーベルト以下となるよう、放射性セシウム濃度を1キロ当たり5千から8千ベクレル以下と規定。さらにコンク一卜や土で覆うことで、工事完了後の周辺住民の被ばく線量を年間0・01ミリシーベルト以下に抑えるとしている。近く環境省が正式決定する。
 関係者によると、この方針を了承した有識者検討会の下部組織の非公開の会合で。同5千ベクレルの土を再利用した場合、放射性物質として扱う必要がなくなるとされる同100ベクレル以下に自然減衰するまで170年かかるとの試算が示された。
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