[2016_06_21_05]断層30〜50メートルのずれ 南海トラフ 大阪大が初の推計 地震規模や津波の高さ不明(東奥日報2016年6月21日)
 東海から九州の太平洋側で想定される南海トラフ地震では、プレート(岩板)境界などの断層が30〜50メートルずれるとの推計を、大阪大などのチームが20日、英科学誌電子版に発表した。2011年の東日本大震災では約80メートルのずれが観測されているが、断層の面積や傾斜などの条件が異なるため、この推計だけでは地震の規模や津波の高さの比較はできないという。

 チームは、海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」のドリルパイプを使って紀伊半島沖の2カ所で掘削し、プレート境界の断層と、そこから派生した断層の試料を採取。成分や摩擦の大きさなどを測定し、断層がずれる長さを初めて推計した。東日本大震災でずれた断層の試料も宮城県沖で採取し、同様に推計したところ、実際にすべった量と一致。推計方法の正しさが裏付けられたという。
 津波の高さを推定することはできなかったが、チームの木下正高東京大教授(地球物理学)は「東日本大震災と同程度の巨大津波か起こりうる」と話している。
 チームは今後、”地震の巣”と呼ばれる南海トラフ周辺のより深い海域でも数年以内に掘削を行い、地震波の伝わり方などを詳しく諷査する。
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