[2016_06_16_01]日本海溝周辺の地震・津波観測網 八戸陸上局 あす運用開始 防災研 125地点のデータ取得(東奥日報2016年6月16日)
 国立研究開発法人「防災科学技術研究所」(茨城県つくば市)が整備を進めていた「日本海溝海底地震津波観測網(S−nel)」で、観測データを取得し気象庁などに送信する八戸陸上局(八戸市鮫町)が17日、試験運用を開始する。S−nelの5カ所ある全ての陸上局の試験運用が始まることになり、日本海溝付近の地震は従来よりも最大30秒早く観測できるようになるほか、津波は沿岸に到達する最大20分前の実測が可能となる。                (樋渡慎弥)
 S−nelは、日本海溝を囲むように千葉県房総沖から北海道南東沖の海底計150地点に地震計と水圧計を設置し、全長5700`の光ケーブルで結ぶ。同研究所が文部科学省の補助金を活用し、東日本大震災を受けて2011年度から事業費324億円を掛け整備を進めてきた。
 陸上局は八戸市のほか、干葉県南房総市、茨城県鹿嶋市、宮城県亘理町、岩手県宮古市に設置され、既に試験運用されている。八戸陸上局の開局で日本海溝より西側の125地点の観測デ一夕を24時間連続して取得できるようになる。
 八戸陸上局は北海道東南沖に伸びた全長730`のケーブルでつながる23地点でリアルタイムに観測した海底地盤の揺れや水圧変化などのデータを取得する。
 観測網の整備により、日本海溝付近で発生する地震や沖合での津波の観測が従来よりも早まることから、緊急地震速報や到達津波の高さ予測の精度向上や迅速化が期待される。
 同研究所によると、今夏には日本海溝東側の観測地点25カ所が全長1450キロの光ケーブルでつながる見込みで、本年度中には観測網を本格稼働させる。
 同研究所の金沢敏彦・海底地震津波観測網整備推進室長は「八戸陸上局の開局で日本海溝の西側のほとんどのエリアを24時間連続して監視することができるようになる」と、同陸上局開所の意義を強調する。17日は同研究所の林春男理事長らが出席し、同陸上局や近くの八戸市水産科学館マリエントで開所式典を行う。
KEY_WORD:HIGASHINIHON_:TSUNAMI_: