[2016_04_01_02]凍土壁、凍結を開始 福島第1原発の汚染水対策 秋ごろ完了、効果は未知数(東奥日報2016年4月1日)
 
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 東京電力は31日、福島第1原発1〜4号機を取り囲むように地盤を凍らせる汚染水抑制対策「凍土遮水壁」の建屋海側(東側)などの先行凍結を始めた。30日に原子力規制委員会の認可が出た海側全面と山側(西側)の95%を3カ月余りかけて凍らせる。
 東電は全体の凍結完了までを8カ月程度と見込んでおり、今後の作業や規制委の残りの認可手続きが順調にいって11月ごろになる見通し。建屋への地下水流入は現在の日量百数十トンから50トン程度に減らせるとしている。
 凍土壁は長さ約1・5キロ、深さ約30メートルの壁を地中に築き地下水の流れを遮断する、世界的にも例のない大規模工事。実現性や効果が未知数な中、2014年6月の着工から約2年で稼働にこぎ着けた。政府と東電は15年度内の凍結完了を目指したが、安全対策の議論が長引いた。
 建設を請け負った大手ゼネコン鹿島は「実績のある工法で効果は出ると思う」としている。
 東電は建屋海側の凍結を先行させ、山側を段階的に凍らせる計画。凍結開始後1カ月から1カ月半程度で凍結管の周りの土壌が凍って壁を形成し始めるとみており、地中の温度監視を続ける。
 三つに分けた工程のうち、今回の第1段階でデータを集め、第2段階以降の実施計画を順次取りまとめて規制委に申請する。
 凍土壁で建屋周囲の地下水位が下がり過ぎると、建屋内の汚染水の水位と逆転し、汚染水が地中に漏れ出す恐れがある。東電は地下水位が下がり過ぎた場合、凍結中止や建屋周辺の井戸への注水で対応する方針。
 記者会見した東電福島第1廃炉推進力ンパニーの増田尚宏最高責任者は「建屋内の高濃度汚染水が漏えいしないよう段階的に慎重に進める」と述べた。
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