[2016_02_23_03]教訓伝承 震災で生きた 津波碑あると犠牲少なく 東北大 被災地で裏付け(東奥日報2016年2月23日)
 過去の津波の恐ろしさを伝える津波碑がある地区は、住民の多くが逃げて犠牲者が少なかったー。そんな経験則が、東日本大震災の被災地の岩手、宮城両県沿岸部の被害分析で裏付けられたとする成果を東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔助教(災害社会情報学)らの研究グループが22日までにまとめた。
 碑がある地区は、ない地区と比べ犠牲者が4分の3程度に抑えられたとみられるという。
 「地震があったら高い所へ」「強い地震は津波の知らせ」。明治三陸津波(1896年)やチリ地震津波(1960年)で被災した岩手、宮城両県には、教訓を伝える津波碑が多く残る。国土交通省の調査などによると、東日本大震災前は約300基あった。
 これまでの東日本大震災の分析でも、碑がある地区は住民の逃げる意識が高く、犠牲が減るとの研究はあったが、地区ごとに津波の規模が違うため比較が難しく、科学的裏付けに乏しい指摘にとどまっていた。
 佐藤助教らは公開データを利用し、両県沿岸部の414地区を対象に「津波の高さ」「地区の死亡率」「津波碑の有無」の関係を統計学的に調べた。すると、津波の高さが同じなら、碑がある地区の多くは、ない地区よりも人的被害が少ないと判明。例えば、津波の高さが10メートルで、碑がない地区で40人の犠牲者が出た場合、碑があればや30人に抑えられたとする結果が得られた。
 千年に一度と言われる東日本大震災の被災地では、犠牲を繰り返さないよう後世に教訓を伝える取り組みが続く。佐藤助教は「津波碑の効果を科学的に証明し、教訓を伝承する活動を応援したい」と話している。
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