[2016_02_22_01] 高浜原発4号1次系冷却水漏れ 漏えいは非常用システムからか? 化学体積制御系で冷却材漏れ 関電は再起動操作を延期した これほど重要な系統からの漏えいだということが記事を読んでいても伝わってこない 山崎久隆(たんぽぽ舎)(たんぽぽ舎メルマガ2016年2月22日)
 
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 高浜原発4号1次系冷却水漏れ 漏えいは非常用システムからか? 化学体積制御系で冷却材漏れ 関電は再起動操作を延期した これほど重要な系統からの漏えいだということが記事を読んでいても伝わってこない 山崎久隆(たんぽぽ舎)

◎各社報道によると高浜原発4号機で20日午後3時40分頃に水漏れ警報が発報し、現場確認をしたところ放射性物質を含む1次系冷却水が漏れていたという。ところが「どこで」「いつから」という情報がは極めて不十分な報道だった。この結果、関電は再起動操作を延期した。21日に制御棒を引き抜く予定を変更したという。制御棒駆動系統は今回事故を起こした部分に近いと考えられる。新聞各紙は「どこから」という点について詳しくは書いていない。

◎毎日新聞は「原子炉補助建屋で出力調整用のホウ素の濃度を調節する設備から」というヒントを書いている。この系統は「化学体積制御系」という、原発には珍しい「常用と非常用を兼ねるポンプ配管系統」だ。本当は「炉内環境・冷却剤体積」というべきところだ。目的は下記の原子力事典ATOMICAの記事にあるとおり「ホウ酸水及び一次冷却材充填系統」である。原子炉後備停止系であり冷却材補充系統であり、さらに一次冷却材ポンプの回転軸部分からの冷却剤漏えいを防止するための軸封水という重大な役割も持っているのである。配管の損傷が起きれば即、一次冷却材喪失事故につながるし、ホウ酸水を投入する局面というのは通常運転時以外ならば緊急時、つまり原発の停止に失敗した場合(これをATWSという)の重大事故時である。
 また、通常運転時は一次冷却材ポンプ軸封部からの漏えい防止のために高圧軸封水を送っているので、これが止まると自動的に一次冷却材喪失事故になるわけだ。 これほど重要な系統からの漏えいだということが、記事を読んでいても伝わってこない。

◎【参考】原子力事典ATOMICAより
    「化学体積制御系 かがくたいせきせいぎょけい」
     Chemical and Volume Control System.
 加圧水炉において、化学体積制御設備(化学体積制御系)は、一次冷却材の一部を一次冷却材低温側配管から抽出し、充てんラインを経て、他の一次冷却材低温側配管に戻す回路を構成する。
 再生熱交換器、体積制御タンク、ホウ酸タンクなどの機器、配管、弁類等から構成され、一次冷却設備に対して、(1)一次冷却材保有量を適正に調整する。(2)反応度制御のため、一次冷却材中のホウ素濃度を調整する。(3)一次冷却材中の核分裂生成物、腐食生成物等の不純物を除去し、一次冷却材としての水質を維持する。(4)一次冷却材中に腐食抑制剤を添加し、その濃度を適正に保つ。(5)一次冷却材ポンプの軸封水を供給する。などの機能を有する。

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