[2015_12_20_01]福島第1原発 遮水壁完成で汚染水が増加 規制委、状況悪化懸念(東奥日報2015年12月20日)
 
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 東京電力は19日までに、福島第1原発護岸から汚染地下水が染み出るのを防ぐ「海側遮水壁」が完成したのに伴い、せき止められた地下水を建屋に移送していることを原子力規制委員会に報告した。建屋地下の汚染水が新たに1日約400トン増加するという問題が生じているという。
 規制委の更田豊志委員長代理は「水を建屋に戻さなければならないのならば、(汚染水対策は)かえって悪い結果になっている」と懸念を示した。
 東電によると、海側遮水壁付近にある「地下水ドレン」と呼ばれる井戸で水をくみ上げているが、放射性物質や塩分濃度が高い上、くみ上げ量も増えているため、当初の計画通りに浄化して海洋放出することができないと判断、付近の井戸の水と合わせて1日約400トンをタービン建屋に移送している。
 建屋周辺の井戸「サブドレン」からのくみ上げなどで、建屋への地下水流入量はかつての1日約400トンから約200トンに減ったが、地下水ドレンからのくみ上げが本格化した11月上旬以降は建屋地下の汚染水は逆に増加傾向にある。
 地下水ドレンでくみ上げた水には放射性物質のトリチウムが1リットル当たり最大8200ベクレル含まれている。トリチウムは浄化装置でも取り除けず、ほかの井戸の水と混ぜても放出基準値(1500ベクレル)を下回らない恐れがあるという。
 東電は「建屋周辺の凍土遮水壁の完成などにより、護岸付近の地下水量を減らしたい」と説明している。
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