[2015_06_25_01]福島第1の建屋 8メートル津波で浸水 旧国土庁、99年に予測図(東奥日報2015年6月25日)
 福島県の沖合で巨大地震が発生し東京電力福島第1原発を高さ8メートルの津波が襲った場合、1〜4号機の建屋が浸水するとの予測図を1999年に旧国土庁が作製していたことが24日、分かった。国は自治体が津波防災対策を検討する「基礎賢料」として作ったが、原発事故を防ぐための電力会社の対策強化には生かされなかった。
 津波防災の関係省庁が98年、全国の自治体に「津波防災対策の手引き」を通知。国土庁は99年、この手引きにのっとった試算方法を用いて、各地の津波浸水予測図を作製した。「津波による浸水域をあらかじめ把握しておくこと」を目的に掲げていた。
 福島県沿岸の予測図では8メートルの津波が来た場合、第1原発1〜4号機の建屋周辺まで津波が到達し、海側のタービン建屋周辺で4〜5メートル、山側の原子炉建屋周辺でも0〜1メートル浸水する状況が示されていた。
 現在、防災対策を所管する内閣府の担当者は「当時の推計では沿岸部の詳細な地形や高低差を加味できず、予測図の通りに浸水するわけではない。自治体に防災対策の基礎資料にしてもらう意図だった」と説明。予測図は福島県に提供されたが「その後どのように活用されたかは把握していない」としている。
 2011年3月11日の東日本大震災では、第1原発を推定約13メートルの津波が襲い、1〜4号機の建屋や地下にあった非常用発電機などが浸水。全電源を失って核燃料の冷却が長持間できず、過酷事故へとつながった。
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