[2015_06_22_02]審査合格の高浜原発そばに津波痕跡 福井大学など確認、関電は影響否定(福井新聞2015年6月22日)
 
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審査合格の高浜原発そばに津波痕跡 福井大学など確認、関電は影響否定

 原子力規制委員会の審査で、2月に「合格」と認められた関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)そばの若狭湾沿岸で、14〜16世紀に起きた津波の痕跡とみられる砂層を福井大学などのチームが21日までに確認した。
 津波の規模は不明で関電は「津波評価や対策に影響を与えるものではない」としている。一方、規制委は取材に対し「安全を脅かす方向につながる情報かどうか留意して、結論ありきではなく検討したい」と関電に調査を促す考えを示した。
 若狭湾沿岸では、1586年の天正地震に伴う大津波で大きな被害が出たとの説がある。関電も数年前に調査を行い「痕跡はなかった」としたが、今回の発表地点は調査していなかった。
 福井大の山本博文教授(地質学)らは、高浜町内の海に流れ込む川沿いの低地を掘削。深さ1メートルより浅い地中で、貝殻などが混じった厚さ1〜20センチの砂層を確認した。砂層は海岸から500メートル以上、内陸側にあった。高浜原発からは南東に6〜7キロの地点。
 砂層の上下から得た試料の炭素同位体で年代測定し、14〜16世紀に起きた津波の痕跡と推定した。海と砂層が見つかった低地との間には高さ10メートル前後の砂丘があるが、山本教授は「砂丘を全面的に乗り越えるほどではなく、川を逆流したのではないか」と話している。
 「天正津波」をめぐっては「地震の後、大津波で町が壊滅した」などの史料が残っている。史実とすれば大津波で、砂層などの痕跡は広範囲で見つかるとみられる。山本教授は「天正津波の可能性はあるが、根拠が足りない。現状では(天正時代と同じか近い時代に)津波があったとしか言えない」と話した。
 高浜原発には1〜4号機があり、関電は1、2号機の再稼働に向けた適合性審査を申請している。既に合格した3、4号機については再稼働の手続きを進めているが、福井地裁が4月、再稼働を差し止める仮処分決定を出し、異議申し立ての手続きで決定が覆らない限り、再稼働できない状態になっている。

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