[2015_05_23_01]高浜原発近くに400年前津波跡か 天正地震と時期一致(中日新聞2015年5月23日)
 福井県の関西電力高浜原発近くの地層から、十四〜十六世紀ごろの津波の痕跡とみられる堆積物が見つかった。古文書に記載がある天正地震(一五八六年)の時期と重なる。福井大島どの研究チームが、千葉市で二十四日から開かれる日本地球惑星科学連合大会で発表する。原発再稼働をめぐる論議に一石を投じそうだ。
 若狭湾沿岸では、これまで、関電などが行った調査で敦賀半島の「猪ケ池」の地層から痕跡が見つかっている。年代は約五千三百〜五千六百年前とされ、今回とは大きく異なる。
 チームは、海岸から三百〜六百メートル雛れた高浜町の水田に試掘溝を掘るなどして、厚さ数センチから十数センチの砂層を見つけた。砂粒が海岸で見られるように丸い上、貝殻片など海の生物の遺骸が含まれ、津波による堆積物の可能性が高いと結論づけた。放射性炭素を使って年代を推定した。
 付近の海岸には高さ最大十メートルの砂丘がある。チームの山本博文・福井大数授(地質学)は「近くの川を遡上し、砂丘を回り込むように砂が内陸部に流れてきたのではないか」と話す。
 調査地点から約七キロ北西には高浜原発がある。関電は、再稼働に向けて最大六・七メートルの津波を想定し、高さ八メートルの防潮堤を設けており、「研究の詳細を承知していないので、何も言うことはできない」としている。
 天正地震は、近畿・中部地方に大きな被害を与え、ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスが著した「日本史」などに、若狭湾沿岸に大津波が押し寄せたとの記述がある。震源がどこかは定説がない。 (榊原智康)
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