[2015_02_18_02]政府 海溝地震「最大級」想定へ 日本・千島周辺 津波も対象に(茨城新聞2015年2月18日)
 政府は17日、日本海溝と千島海溝周辺で発生が懸念され、北海道や東北の太平洋側に激しい被害をもたらす大規模地震の想定の抜本見直しに着手した。日本海溝付近で想定外の東日本大震災が発生したことを踏まえ、確率が低いため除外していた最大クラスの地震・津波も対象とする。震度や津波高を来年3月ごろまでに再検討した後に、被害を想定する。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震に次ぐ見直しで、政府は太平洋側の地震対策推進につなげたい考えだ。2015年度以降には中部圏・近畿圏直下地震の想定見直しも取り沙汰される。
 日本海溝と千島海溝周辺で予想される巨大地震に関する内閣府有識者会議は17日、初会合を開いた。今後、東日本大震災の発生メカニズムや津波堆積物の分析、歴史文献の調査を通じて揺れや津波高の推計作業を本格化させる。
 座長の阿部勝征東京大名誉教授は会合で「巨大地震が起き、今から思えば従来の被害想定は過小評価だった。想定外をなくすために、科学的知見に基づき最大クラスの想定を進める」と述べた。
 従来は過去数百年程度さかのぼって、将来再発が懸念される地震を調べ、被害を想定していた。今回の見直しでは、発生頻度は低いが、甚大な被害が伝えられる貞観地震(869年)などの「歴史地震」も考慮に入れる。震源域が二つの海溝にまたがる巨大地震の可能性も排除せず検討する。
 政府は北海道から福島の1道4県で、沿岸部などの市町村を対策推進地域に指定済みだが、想定見直しの結果次第では地域拡大もあり得る。
 政府は06年、両海溝周辺での地震に関し、8種類の被害想定を公表。最大規模となったのは、明治三陸地震(1896年)と同タイプの地震と、500年間隔で起きるとされる北海道沖の地震で、いずれもマグニチュード8・6。人的被害が最悪となるのは、明治三陸タイプ地震の死者2700人としていた。

 ■日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震

 両海溝付近では東日本大震災以前にも、マグニチュード7〜8級の地震が繰り返し起き、20メートルを超える津波が発生してきた。政府の従来の被害想定で設定された8種類の地震は、択捉島沖から宮城県沖までで、死者数のほとんどは津波が原因と推計した。政府は2005年施行の特別措置法に基づき、北海道から福島にかけての1道4県で沿岸部などの市町村を対策推進地域に指定している。
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