[2014_08_01_03]「想定外の事態認識」 東電原発事故 元会長ら起訴相当 検審、ほか1人不起訴不当(東奥日報2014年8月1日)
 東京電力福島第1原発事故を招いたとして業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発され、東京地検が不起訴とした勝俣恒久元会長ら3人について、東京第5検察審査会は31日、「想定外の事態発生を認識していたのに危機管理が不十分だった」などとして起訴相当と議決したことを公表した。
 議決は23日付。勝俣元会長のほかに起訴相当としたのは武藤栄元副社長と武黒一郎元フェローの2人。
 小森明生元常務は不起訴不当、鼓紀男元副社長と榎本聡明元副社長は不起訴相当とした。
 東京地検は今後、起訴相当の3人と「不起訴不当」の1人について、業務上過失致死傷容疑で再捜査する。再び不起訴になっても、検察の再審査で今回起訴相当だった3人に起訴すべきだとの議決が出ると、強制起訴される。
 検察は、勝俣元会長が新潟県中越沖地震(2007年)後の原発停止を受けた会議で津波のリスクについて議論した可能性が高いとし、「最高責任者として各部署に対応策を取らせることが可能だった」と指摘。「重要な点を知らなかった」との主張については「資料を見る限り信用できない」と取り合わなかった。
 一方、武藤栄元副社長と武黒一郎元フェローの2人は、津波のリスクについて具体的に報告を受けていたことが起訴相当の根拠となった。
 議決書などによると、東電は08年3月、政府の地震調査研究推進本部の長期評価に基づき、福島県沖で大地震が発生した場合、最大15.7メートルの津波が襲来すると試算。東電の土木調査グループは同6月、武藤元副社長に試算を報告し、武藤元副社長は武黒元フェローに伝えた。
 検審は当時の情報の流れを基に「(元副社長と元フェローが)適切な措置を指示すれば、結果を回避できた」と指摘。武藤元副社長が推進本部の評価を土木学会に検討させようとしたことは「時間稼ぎ」と指摘した。
 不起訴不当の小森明生元常務については、15・7メートルの試算結果を伝えられたが、対策を決める立場になかったと認定。鼓紀男元副社長と榎本聡明元副社長は、原発の安全管理について判断できる立場になかったことなどから不起訴相当となった。
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