[2014_05_20_03]ALPS全系統停止 処理中の汚染水白濁(東京新聞2014年5月20日)
 

ALPS全系統停止 処理中の汚染水白濁

 東京電力は二十日、福島第一原発で試運転中の新型の汚染水除染装置「ALPSアルプス」で、三系統あるうち唯一動いていた系統でも処理中の水が白く濁っているのが見つかり、処理を止めたと発表した。ほかの二系統は既にトラブルを起こして停止中で、全系統で処理が止まった。
 ALPSが止まっていても、既存の除染装置で放射性セシウムは除去できており、原子炉の冷却に再利用する水の確保は問題ない。ただし、高濃度のストロンチウムを含む汚染水を入れたタンクが増え続けることになるため、タンクから汚染水が漏れて土壌から地下水にしみ込んだり、海に流出したりした時の危険性は高いままとなる。
 処理は、前段階で高濃度のストロンチウムを含む水に薬剤を入れ、泥状にして沈殿・除去し、沈殿しきれなかった泥をフィルターで取り除く。後段で数多くの吸着塔を通し、ほかの放射性物質も除去し、ほぼトリチウムだけの水にする。
 しかし、東電が状況を調べたところ、後段の処理で水が白く濁っていることが判明。カルシウム濃度が通常より高かった。フィルターが十分に機能していない可能性がある。ALPSは、既存の除染装置で取り除けないストロンチウムなど六十二種類の放射性物質を除去できるため、国や東電が汚染水対策の切り札として期待を寄せている。
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