[2014_05_08_01]小泉、細川元首相が新法人 原発ゼロ共闘第2幕「死ぬまで頑張る」(神奈川新聞2014年5月8日)
 

小泉、細川元首相が新法人 原発ゼロ共闘第2幕「死ぬまで頑張る」

 小泉純一郎、細川護熙両元首相が原発ゼロに向けて旗揚げした一般社団法人「自然エネルギー推進会議」。設立総会で小泉氏は「原発ゼロに絞って国民運動を起こしていく」と宣言した。惨敗をみた都知事選から3カ月、その影響力への期待と注視を集めながら、共闘の第2幕が開けた。
■小泉節健在
 設立総会で小泉氏は全面支援した細川氏が敗れた都知事選を振り返り、「くじけないのが細川さんや私のいいところ。選挙が終わっても、原発ゼロを目指して死ぬまで頑張らないといかん、という思いでやってきた」と熱弁を振るった。
 「原発が安全でコストが安く、クリーンなんて大うそ」と一刀両断。「日本人はどんなピンチも不撓ふとう不屈の精神で立ち上がってきた。一つの戦場都知事選で負けたが、原発をゼロにし、自然を資源に国を造るという大目標に進むのは素晴らしいことだ」とボルテージを上げた。
 同会議の代表理事に就いた細川氏も政府の原発輸出、再稼働の取り組みを批判。「放射能の心配のない社会をつくる。地方に出掛け、地方が元気になるような自然エネルギー事業をサポートしていく」と決意表明した。
■影響力意識
 全国の市町村長と経験者でつくる「脱原発をめざす首長会議」に名を連ねる県内の首長からは歓迎の声も上がった。
 小田原市の加藤憲一市長は「力のある2人の元政治家を中心に、自然エネルギーを推進するということで非常に心強い」とコメント。市では再生可能エネルギーの普及に官民を挙げて取り組んでおり、「小泉さんも細川さんも県内在住。いい意味でのムーブメントが神奈川から起きていけばうれしい」と話した。
 一方、米国訪問中の黒岩祐治知事は「県では太陽光を中心とした再生可能エネルギーや分散型電源の推進に取り組んできている。ただ両元総理の動きは詳細を把握しておらず、コメントは差し控えたい」とした。
 政府は静観の構えを強調する。菅義偉官房長官は7日の会見で「政治を引退していろいろなことをやっている、という位置付け。政府としてコメントは控えたい」。原発を「重要なベースロード電源」と位置付けたエネルギー基本計画を閣議決定しているが、「エネルギー基本計画で再生可能エネルギーを最大限導入するとしている。決定したことを粛々とやる」と言い添えることも忘れなかった。
■期待と注文
 小泉、細川両氏は総会後、今後の選挙への関わりを記者団に問われ「直接的には関わらない」細川氏、「細川さんを応援したのは例外中の例外」小泉氏と否定。小泉氏は「民主主義なので最終的には国民の多数意思が決める。理解してもらえる活動をしていきたい」と述べ、脱原発の機運を高めることが最優先との考えを示した。
 設立総会に足を運んだ、都内でウェブ制作会社を経営する男性49は「2人の首相経験者が『自分たちは間違っていた』というのはとても真摯しんしな態度。脱原発の大きな推進力になる」と話す。妻48も「大きな政治でまとまろうとするのではなく、右も左も関係なく原発ゼロを願う小さな動きがいくつも広がることが大切では」と今後の展開に期待を込めた。
 一方、脱原発運動に加わる県内の市民グループ「時をみつめる会」に所属する女性75は2人の元首相の影響力が測れずにいる。「都知事選でも脱原発票が割れた。2人のことを知らない若い世代も含め、一つになれるような将来のグランドデザインを示してほしい」と注文を付けた。
2014年5月8日
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