[2014_02_24_02]東通原発 「活断層否定出来ない」 規制有識者 東北電調査に指摘(東奥日報2014年2月24日)
 
 東北電力東通原発敷地内にある断層の活動性を評価する原子力規制委員会の有識者会合が24日午前、東京都内で始まった。東北電力は自社の地質調査結果を示しながら「将来活動する可能性のある断層(活断層)ではない」と主張。これに対し、有識者側からは「東北電力の説明には根拠が乏しい」「活断層を否定することはできない」など、活断層が存在する可能性を再び指摘する意見が出た。
 冒頭、東北電力の安倍宣昭副社長は「入念に丁寧に調査した。科学的データも十分に示している」と強調。同社担当者が、断層は約1千万年前に団結し、それ以降は動いていないと説明した。
 取水路など重要施設の下を通る小断層「f−1」は、地下の岩盤部で断層が途切れているが、上部の地層に小さな断裂がある。この小断裂について同社は「周辺の岩盤が劣化しており、それが体積膨張してできたと判断できる。数値シミュレーションでもこの現象を再現できた」と説明した。
 同社の説明後、熊木洋太・専修大教授は断層「F−9」に関連し、「敷地内には海側が高くなる異常な地形がある。それがなぜ生じたかはいろいろな考え方があり、十分結論が出ていない」との見方を示した。
 東北電力が地層のずれやたわみの要因とする岩盤劣化部の吸水・風化に関し、佐藤比呂志−東京大地震研究所教授は「具体的な根拠に乏しい。断層が集中し、広域的な力がかかっているとみる方が苦労はない。私は活断層があると解釈している」と指摘した。
 会合は今回で7回日。敷地内断層について「耐震設計上考慮すべき活断層である」とする評価報告書案をまとめた昨年5月以来、9カ月ぶりの開催となった。東北電力は1月、敷地内のトレンチ(試掘溝)やボーリング調査の結果として、いずれの断層も第四紀後期更新世(約13万〜12万年前)以降に動いた形跡は見られず、活断層ではないーとする報告書をまとめ、規制委に提出していた。(古川靖降、阿部泰起)
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