[2014_02_12_01]函館市長、提訴正式表明 大間原発の建設差し止め 「情報提供し計画推進」電発(東奥日報2014年2月12日)
 
 電源開発(Jパワー)が大間町で建設中の大間原発をめぐり、函館市の工藤寿樹市長は12日に開いた記者会見で、建設差し止めなどを求める訴訟提起の可否を問う議案と当面の訴訟費用約400万円を含む2014年度予算案を27日開会の定例議会に提出すると正式表明した。
 工藤市長は「国や電源開発に何度も建設差し止めを求めたが、明確な回答は得られなかった。さんざん無視しておいて建設してから防災計画を作れなんて、そんなばかな話はない」と述べた。
 議案が可決されれば、市は3月中にも国やJパワーを相手に建設差し止めと原子炉設置許可の無効確認を求める訴訟を東京地裁に起こす。自治体による提訴には地方自治法に基づき議会の議決が必要になる。
 市と大間原発の距離は津軽海峡を挟んで最短で約23キロ。大間原発をめぐって安倍晋三首相は、原発の新増設には含まれない一との見解を示し計画推進の姿勢を打ち出している。
 同原発の工事進捗(しんちょく)率は、東日本大震災直後と変わらず37・6%。Jパワーは現在、昨年7月に施行された原発の新規制基準を踏まえた安全対策について、設計変更などの作業を進めている。

 「情報提供し計画推進」電発

 函館市の工藤寿樹市長が12日、大間原発の建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こす方針を正式に表明したことに対し、事業者である電源開発本店(東京)広報室の担当者は、本紙取材に「訴訟前なのでコメントは差し控えたい」とした。その上で「これまでと同様、函館市行政当局に対して、適宜情報提供をさせていただきながら、計画を推進して参りたい」と説明。新規制基準を適切に反映した安全対策などを着実に実施し、安全な発電所づくりに取り組む−とした。
 大間町の金澤満春町長は「(函館市の)提訴は自治体の判断であり、函館市の首長が進めていくことに、ほかの自治体が申し上げることはない。大間町は従来通り、原発推進の立場に変わりはない」とのコメントを出した。今後の建設スケジュールについては「提訴の影響はない」との見方を示した。
 県エネルギー総合対策局の八戸良城局長は「訴訟に関するコメントは差し控える。大間原発の建設については新基準に沿って安全性が一つ一つ確認されていくものと考える」と話した。
 函館市とは別に、大間原発の建設差し止めを求めて函館地裁で係争中の市民団体「大間原発訴訟の会」の大場一雄事務局長は「訴訟のやり方について分からない部分はあるが、地方自治体の存立を求める権利などを訴えるため、裁判すること自体はいいことと述べ、市の対応を評価した。(都築理、安達一将)
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