[2013_09_27_01]柏崎刈羽 きょう再稼働申請 東電、事故収束できぬまま(東京新聞2013年9月27日)
 
参照元
柏崎刈羽 きょう再稼働申請 東電、事故収束できぬまま

 東京電力は二十六日、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた審査を原子力規制委員会へ二十七日午前に申請すると発表した。新潟県の泉田裕彦(ひろひこ)知事が二十六日、東電の申請を条件付きで承認したことで、申請に向けた環境が整ったと判断した。泉田知事は現状を放置するのは望ましくないと理由を説明した。
 原発の新規制基準が施行された七月八日以降、東電の申請は初めてとなる。規制委が審査する原発は東電を含めて五社の十四基となる。
 東電は柏崎刈羽原発を早期に再稼働させて火力発電の燃料費を減らし、財務状況を改善したい考えだ。広瀬直己(なおみ)社長は「申請は新潟県のみなさまの安全・安心につながる大変重要な手続きと考えている」とのコメントを発表した。
 泉田知事は承認を文書で東電側に伝えた。条件として安全審査の申請書には、県との協議後に修正申請すること、フィルター付きベント(排気)設備は地元の了解が得られなければ使用できないことを明記するよう求めた。安全協定に基づく事前了解の協議ができないと判断した場合には、申請の承認を無効とする考えも明示した。
 知事は承認の理由を「事業者が安全確保のために第三者の目を入れたいという状況を放置するのは、地元にとっても望ましくない」と説明した。ベント設備に関しては「地元の避難計画との整合性を県の技術委員会で検討する必要がある」と指摘した。

 泉田知事は七月に続き今月二十五日に東電の広瀬社長と再会談した。この場で広瀬社長が、ベント設備を追加設置するなど事故対策を強化する考えを表明したことに一定の評価をしたとみられる。

◆新潟知事一転 条件付き承認

 東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働審査を、二十七日に原子力規制委員会に申請すると表明した。表面的には、審査は安全性のチェックのためで、再稼働とは別だと強調するが、一日も早い再稼働で経営の改善につなげようとの意図がにじむ。
 だが、福島第一原発では深刻な状況が続いている。汚染水が地下水と混じって大量に海に流出。原子炉を冷やした後の処理水もタンクから漏れ、外洋に流れた。国が前面に立って対策を進めるというが、廃炉への道は見えない。東電が原発を動かしていいのか、大きな疑問がある。
 一方の規制委は、再稼働申請があれば、粛々と審査を進める方針だ。東電と対峙(たいじ)してきた泉田裕彦新潟県知事は一転、フィルター付きベント設備を使用する際は地元の事前了解を取ることを条件に申請を容認したが、条件付きの申請は例がなく、規制委の担当者は「審査がどう進むのか、分からない」と話した。
 新しい規制基準では、フィルター付きベント設備の設置が不可欠で、事故時に排気するかどうかを決めるのは電力会社となっている。そこに地元の事前了解というプロセスが入ることで、規制委が有効な事故対策と判断しない可能性がある。東電の思惑通りに進むとは限らない。 (大野孝志)

KEY_WORD:KASHIWA_:汚染水_: