[2013_09_05_01]東通原発 断層 3度目調査へ 規制委、水平掘削面を確認(東奥日報2013年9月5日)
 
 原子力規制委員会の有識者調査団は4日、東北電力東通原発の2度目の敷地内断層調査を終えた。島崎邦彦委員長代理は、敷地内に複数の活断層が存在するーとした従来の見解について「そんなに変わらない」とする一方、「もう少し見たいという意見が(調査団の)大勢にある」と述べ、評価会合を開く前に3度目の調査を行う考えを明らかにした。
 調査時期について、島崎氏は「9月下旬にもう1回来たいが、事業者と詳しい打ち合わせをしたい」と語った。この意向に対し、東北電力の三和公・土木建築部部長は取材に「調査の進捗(しんちょく)状況にもよるが(規制委が調査したい場所が適切な状態で見られる時期は)10月上旬か中旬ごろ」と答えた。
 島崎氏がさらなる調査の必要性に言及しているのは、敷地を南北に走る「F−3」断層上部の試掘溝で東北電力が新たに行っている水平据削面調査地点。
 水平掘削は、地層を段階的に水平に滴り、地震を起こす大きな要因となる「横ずれ」の有無を上部の水平面から調べる。より深い場所の状況を調べるには、一度見た水平面を掘削して取り除く必要があり、現場調査を行う場合、見たい面と調査の進捗状況が合致しなければならず「調査上の制約がある」(三和氏)という。
 東北電力によると、現在は地表部分の砂礫(されき)層を観察しており、進捗は4割程度。三和氏は、現時点で横ずれを否定する一方、さらに深い地点の状況を見る必要があるーとしている。
 島崎氏は、水平掘削の途中経過を見ることが再調査の大きな目的としており、調査2日目となった4日も水平面を入念に調べた。2日間にわたる調査を終えた島崎氏は「水平掘削に関しては結構複雑。もう一段(深く掘り)違うところで見たい」と説明。
 また、複数の試掘溝で、第四系(約180万年前以降に堆積した地層)の変状(ずれやたわみ)が見られたことを明かし、このうち複数が活断層によってできた可能性を示唆した。
 4日に会見した東北電力の安倍宣昭副社長は「(12月まで実施する自社の)追加調査で得られる新たな知見を確認していただき、国の審査に携わった学識経験者の意見も聞くなど、科学的データに基づいた幅広い議論を行ってほしい」と注文した。
 (安達一将、安田奈津子)
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