[2013_07_09_01]北電、津波想定引き下げ 泊再稼働申請 「対応は十分」(北海道新聞2013年7月9日)
 北海道電力など電力4社は8日、泊原発1〜3号機(後志管内泊村、出力計207万キロワット)など5原発10基の安全審査を原子力規制委員会に申請した。北電は「電力需給が非常に厳しい冬の前に1台でも再稼働できれば」(酒井修副社長)との立場で泊3号機の再稼働を優先、「対応は十分」と強調する。ただ、北電は最大津波の想定を、今回申請した4社で唯一引き下げ、海抜7・3メートルと設定しており、今後の審査で妥当性が焦点の一つとなりそうだ。
 北電の川合克彦社長はこの日、「安全確保を前提に泊発電所の一日も早い再稼働を目指す。道民の皆さまにご理解いただけるよう努める」とのコメントを発表した。
 北電は今回、1、2号機と、3号機の申請を分離し、全国で最も新しい原発である3号機の優先審査を規制委員会に求めた。一方、北電は一部の専門家から指摘されている敷地内と周辺海域の活断層については存在を否定。海面から敷地までの高さ10メートルに対し、従来は最大津波の想定を海抜9・8メートルとしていたが、今回の申請では再評価の結果、同7・3メートルに引き下げた。来年12月に完成予定の同16・5メートルの防潮堤についても「新規制基準対応では必要ない」(同社)としている。
 規制委員会は今後、申請された地震や津波の想定が妥当か、安全対策が十分かどうかを3チームで審査する。1基の審査には最低半年程度かかる見通しで、北電が津波や地震動の想定の見直しなどを求められれば、審査の長期化も予想され、今冬も道内で数値目標付き節電が行われる可能性が出てくる。
 再稼働をめぐっては「地元同意」も焦点の一つ。北電は8日、安全協定を結ぶ泊村など地元4町村と道を阪井一郎常務らが訪ね、申請内容を報告した。
 4町村以外の安全確認協定を結ぶ後志管内16市町村には、電話などで連絡し、9日も札幌で開く会合で申請内容を説明する予定だ。「地元同意」については政府も地元の範囲を明確にしておらず、議論になる可能性もある。
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