[2013_03_20_02]地震用語 解放基盤 はぎとり波 基準地震動 基礎版(ものぐさのブログ2013年3月20日)
 
参照元
地震用語 解放基盤 はぎとり波 基準地震動 基礎版

 福島原発事故後、ガルと言う単位が頻繁に使われています。加速度を表す単位で、1ガルは 0.01m/s2 です。地球における重力の加速度は981ガルで、それ以上の地震で下から突き上げられれば、地表面に置かれた物体は空中に飛び上がります。加速度に関連した地震用語について、勉強した範囲で記します。理解を深めるために、新潟中越沖地震の数値を参考にしてください。

1 解放基盤(工学基盤)

 原発敷地において一定以上の固さをもつ地中の地盤の上部を仮想的にはぎとった表面。柏崎刈羽原発1号機の解放基盤表面の深さは、海面下284m。

2 原子炉建屋基礎版

 柏崎刈羽原発1号機の同基礎版の深さは、海面下45m。この基礎版上に原発は設置されている。ここで観測された地震波は680ガル。

3 はぎとり波

 原発直下で観測された地震波(注1)から作成された解放基盤表面における地震波。柏崎刈羽原発1号機の解放基盤表面におけるはぎとり波は1699ガル。

(注1) 柏崎刈羽原発1号機基礎版で680ガル、同1号機の解放基盤表面と同じ深さの地中(海面下250mのG10地点)において観測された地震波は993ガル、より浅い地中で760ガル、サービスホール地中で728ガル。

4 基準地震動 S1 ・・・敷地の解放基盤表面で定義

 設計用最強地震として、発電所周辺で過去に発生した地震と周辺の活断層から想定される地震動。柏崎刈羽原発1号機のS1は273ガル(はぎとり波)。


5 基準地震動 S2 ・・・敷地の解放基盤表面で定義

 設計用最強地震よりも大きな設計用限界地震として、周辺の活断層や地震地帯構造から想定される地震動。柏崎刈羽原発1号機のS2は450ガル(はぎとり波)。

 次に、柏崎刈羽原発を襲った新潟中越沖地震動の意味するところについて検討します。

・ 通常、表面の軟らかい堆積物により、地震の揺れは増幅するので、地下の岩盤での揺れは地表の半分くらいと言われています。よって、原発は直接岩盤に設置することになっています。

・ 1号機直下で観測された地震動から作成した解放基盤面のはぎとり波は1699ガル。なんと設計時の基準地震動(S2)450ガルの4倍も大きな地震動です。設計時の想定はお粗末としか言いようがありません。

・ 解放基盤面でのはぎとり波1699ガルは、解放基盤表面と同じ深さの地中(海面下250mのG10地点)において993ガルに減少しています。これは、解放基盤上部に積み上げられた重たい地盤で揺れが小さくなったと言われています。地盤が軟弱な柏崎刈羽原発は、解放基盤表面が非常に深く、その上部の地盤が大きくて重いことから、はぎとり波の半分の揺れになったと言われています。解放基盤と原子炉建屋基礎版間に挟まれているスポンジを思い浮かべてください。ちなみに、地盤の固い女川原発の解放基盤は海面下わずか8.6m。宮城県沖地震(2005年)でのはぎとり波は284ガル、解放基盤と同じ深さの地中では221ガルが観測されています。

・ 補強することで450ガルから2280ガルまで向上したと、東電は言っています。補強程度で5倍も耐震力は向上するものでしょうか。


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