[2012_11_23_02]東北電「膨潤」に疑義 「調査データが不十分」 「聞いたことない解釈」 東通原発断層問題 専門家が指摘(東奥日報2012年11月23日)
 
 原子力規制委員会は22日、東北電力東通原発の敷地内断層が活断層かどうかを調べる現地調査団の事前会合を東京都内で開いた。地層のずれ、たわみの原因を地中の岩盤が水を含んで膨張した「膨潤」だとする東北電力の主張に対し、出席した専門家は「膨潤を理由に判断するには調査データが不十分」「聞いたことがない解釈だ」などと疑問を呈した。      (阿部泰起)

 会合では過去の調査データを基に議論した。東大地震研究所の佐藤比呂志教授は「横ずれ断層に特徴的な構造もある」と指摘した上で「断層を読み取る上で膨潤を理由にしている例は聞いたことがない。世界的にもまれ」と述べた。
 千葉大学大学院理学研究科の金田平太郎准教授も「膨潤で数十センチに及ぶずれが起きるのか」と懐疑的な見解を示した。
 産業技術総合研究所の活断層・地震研究センターの栗田泰夫主任研究員は「活断層でも膨潤でも地盤が変形するリスクは一緒。その広がりと、繰り返すかどうかを検証するデータを提示してほしい」と求めた。専門家からは東北電力側から示された調査データは不十分−との意見が大勢を占めた。
 調査団は団長役の島崎邦彦委員長代理(地震学、東京大名誉教授)をはじめ、活断層や地質学の専門家5人。12月13〜14日の日程で現地調査し、東北電が敷地内で掘削した試掘溝などを確認する。活断層の疑いが強まれば再稼働は困難になる。
 東北電力はこれまで「地層のずれは、古い時代の粘土質の地層が乾燥した後に水を吸って膨張する『膨潤作用』による「などとして、安全性に影響はないと評価していた。
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