[2012_10_04_03]30キロ圏に防災地域拡大 原子力規制委 対象人口480万人 東通原発は野辺地町も(東奥日報2012年10月4日)
 
 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は3日、東京電力福島第1原発事故を踏まえた防災対策の「原子力災害対策指針」の原案を示した。事故に事前に備える防災対策重点地域を原発の半径10キロ圏から30キロ圏に拡大することが柱。水素爆発の発生で原子炉格納容器が破壊され、大量の放射性物質が拡散する事故を想定して事前に十分な対策をとることが必要とした。

 半径50キロ圏を目安に、安定ヨウ素剤の事前配布をすることも検討する。
 規制委は今月末までに指針をまとめる。30キロ圏に拡大された場合、対象となる人口は約480万人(一部重複)に上る。対象となる自治体は現行の45市町村から135市町村に増加。富山、岐阜、滋賀、鳥取、山口、福岡の6県が新たに重点地域に含まれる。複数の原発の重点地域に入る住民は重複するが、人口は約72万6千人から400万人以上も一気に増えることになる。
 県内の原発では、運転停止中の東北電力東通1号機の場合、従来の半径10キロの対象地域は東通、横浜、むつ、六ケ所の4市町村だが、30キロになると新たに野辺地町の一部が加わる。対象人口も10キロの約5600人から約7方1500人と大幅に増加する。建設中の電源開発(Jパワー)大間原発の場合、10キロの対象地域は大間、風間浦、佐井の3町村の約9600人だが、30キロに拡大されると、北海道函館市やむつ市が加わり、約3万1800人が対象となる。
 原発周辺の自治体は事故時の住民避難の方法などを定めた防災計画を来年3月にまとめる必要がある。避難用のバスの手配や安定ヨウ素剤の配布法などを決める必要があり、対象人口の増加により計画策定は一層難航することになりそうだ。
 原案では、甲状腺被ばくを避けるための安定ヨウ素剤の服用指示は、従来の方針を大きく転換。福島事故では国側の服用指示が遅れてほとんど活用されなかった反省から「より住民に近い組織が服用指示の判断をするべきだ」とし、国はその支緩に回るべきだとした。
 半径5キロ圏は事故後直ちに避難する「予防防護措置区域(PAZ)」に改める。30キロ圏を「緊急防護措置区域(UPZ)」とする。また半径50キロ圏を目安に、安定ヨウ素剤の服用を対策の中心とする「放射性ヨウ素防護地域(PPA)」を検討する必要があるとした。
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