[2011_12_19_01]福島原発事故、津波前に機器損傷の可能性 停止原発 再稼働遅れも 政府事故調 地震被害を継続調査 国会調査の焦点に(東奥日報2011年12月19日)
 東京電力福島第1原発事故で、政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)が、津波到来前に地震の揺れで安全上重要な機器が壊れた可能性も残っているとして、26日発表する中間報告では地震の影響について踏み込んだ判断を見送ることが19日分かった。東北電力東通原発など各地で停止中の原発の関連自治体は調査委の報告に注目しており、再稼働が一層遅れる可能性が出てきた。
 全国で原発の関連自治体の多くが「福島第1原発の原因調査結果を見て対応を決める」との姿勢を取っている。現在の耐震基準が事故防止に十分でない可能性が強まれば、再稼働は難しくなる。
 東電は、今月2日に発表した社内調査の中間報告書で、原子炉の状態を示す数値や地震の解析、目視による確認結果から「安全上重要な機能を有する主要な設備は、地震直後に安全機能を保持できる状態にあった」として事故原因は地震後の巨大津波と結論づけた。
 しかし、関係者によると、政府の調査委は、現時点では放射線量が高く原子炉建屋内部や格納容器周辺の多くを直接確認できないため、地震の影響について断定するのは難しいと判断。来年後半にまとめる最終報告へ向け、引き続き慎重に見極める。
 ただ格納容器内を調べることが可能となる時期は見通せない。委員の間では将来「第2事故調」を立ち上げ、長期間、解明作業を続けるべきだとの意見も浮上している。
 地震被害については、原発設計技師として福島第1原発建設に携わった国会の原発事故調査委員会の田中三彦委員が、揺れによるところ、東電は黒く塗りつぶした運転操作手順書を提出し、問題になった。

 国会調査の焦点に。

 福島第1原発事故で東京電力は事故原因を「想定外の津波」としてきた。しかし専門家の間では、津波が襲来する前に地震の揺れによって、1号機の冷却の最後の手段となった非常用復水器の配管が損傷した可能性が取り沙汰されてきた。耐震基準を上回って最も強い揺れが観測された2号機でも圧力抑制室が揺れで壊れたとの見方がある。
 福島市で19日に初会合を開いた国会の原発事故調査書会の田中三彦委員は、設計技師として福島第1原発建設にかかわった元同僚らとともに、1号機の非常用復水器の配管が地震で破断した可能性を早い時点から指摘してきた。
 地震の影響の解明は、国会の調査委でも焦点になる。
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