[2011_11_29_01]津波対策 多くの疑問 福島原発事故・東電中間報告判明 10メートル超試算にも「根拠なし」(東奥日報2011年11月29日)
 東京電力福島第1原発事故について、東電が設置した社内調査委員会の中間報告書の全容が20日、判明した。事故以前に、原発を襲う津波の高さが高さ10メートルを超えるとの社内的な試算結果を得ていたが「具体的根拠のない仮定に基づくものにすぎなかった」と対策の不備を否定。なぜ十分な津波対策につなげられなかったかなど多くの疑問を残す内容となった。
 地震の揺れによる主要設備の損傷は確認されず、2号機で爆発はなかったとの見解をあらためて示した。
 津波が主要な建屋に流れ込み、機器類が機能を喪失したことが直接の事故原因とし、教訓として建屋や重要機器の徹底した浸水防止などを柱とした今後の対応方針を示した。近く正式に発表する。
 報告書は、地震直後の運転状況や、観測された地震データを基にした解析結果から、主要な設備は地震によって機能を喪失しなかったと判断。ただ解析は、地震で最も揺れた5号機で損傷がなかったことを根拠にしている。一方、津波が地震後1時間以内に到達し「地震による被害程度は明確に確認できていない」とした。
 また3月15日朝、2号機の圧力抑制プール付近で起きたとされる爆発音は、4号機の原子炉建屋で起こった爆発を誤認したと断定。同じころ起きた2号機の格納容器内の圧力急低下について「何らかの損傷が発生した可能性は否定できない」としつつ、「計器の故障の可能性が高い」とするなどあいまいな記述に終始した。
 今後の対応方針は(1)建屋や重要機器の浸水防止(2)電源や機器の機能喪失を前提とした炉心損傷防止(3)炉心が損傷した場合も、水素爆発を防止し、放射性物質の放出を低減させる−が柱。
 津波などへの対策に関して報告書は、国と一体となって安全対策を進めてきたが、建屋敷地の高さに十分余裕があると考え、津波が機器故障の要因になると考えていなかったとした。
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