[2011_11_24_01]津波の爪痕まざまざ 宮古 推定140トン、450m移動(東奥日報2011年11月24日)
 巨石は幅約6メートル、奥行き約4メートル、高さ約3・5メートル。石の種類は不明だ。地元の砂利業者によると、宮古市にある川の砂利と同じ比重だとした場合、重さは約140トンと推定される。
 住民によると、石は現在の場所から約450メートル離れた水門近くの川岸にあり、3分の1が川から出ていた。津波で集落そばの水門と防潮林が破壊され、7軒あった住宅のうち残ったのは高台にあった1軒のみ。サケの養殖施設で働いていた3人と住民3人の計6人が犠牲になった。石の周りには壊れた消波ブロックが転がっている。
 母を亡くし仮設住宅に暮らす花輪長一さん(76)は「子どものころ、石のそばで魚を取った。津波はどれだけの強さだったのか」と話す。館崎寅男さん(73)も「石の上部の形を覚えている。川の水の跡もあり間違いない。すごいパワーだね」と驚く。
 住民の話から、石のある土地の持ち主とみられる花輪仁右工門さん(62)も仮設住宅暮らし。「もともとは田んぼで、減反で牧草を育てていた。再開するとき邪魔になってしまう。撤去してほしい」と話している。
 宮古市は、地主の花輪さんの意向を尊重する考えだが、担当者は「非常に大きな石で通常の機械では取り除けない」と頭を悩ませる。
 集落の住民の多くは漁業と農業を営んでいた。妻を亡くした館崎隆保さん(79)は浸水した畑でハクサイを作っている。「やってみないと塩害の影響は分からない。家族や近所の人に野菜を食べさせてあげたい」。花輪仁右工門さんはワカメの養殖施設の復旧に取り組む。「できることからやるしかない」
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