[2011_10_24_01]福島第1原発 想定超え津波の確率評価 保安院 把握せず(東奥日報2011年10月24日)
 東京電力が2006年に、想定を超える津波が福島第1原発を襲う確率について「50年間で最大約10%」と算出しながら対策を取らなかった問題で、安全規制を担当する経済産業省原子力安全・保安院が、この評価結果を東日本大震災の前に把握していなかったことが23日、分かった。保安院が共同通信の質問に回答した。
 津波に関わる重要な情報を放置していた東電に加え、これを把握できなかった保安院の姿勢を批判する声が政府内でも上がっている。
 保安院は取材に対し「東電から特に報告はなかった」(広報担当者)と回答。東電が06年7月に米国での国際会議で、この評価結果を英語論文にまとめて発表していたことも、今年春まで知らなかったと説明した。評価結果の把握が遅れた点について、保安院内部で今のところ検証作業も行われていないという。
 06年の津波評価は「確率論的安全評価(PSA)」と呼ばれる新しい手法で大津波発生の確率を算出。「炉心溶融を確実に引き起こす」(東電内の専門家)という10メートルを超える津波が来る可能性も「50年間で最大1%弱」で、炉心溶融の発生頻度を「10万年に1回以下」とする国際原子力機関(IAEA)の基本安全原則をはるかに上回る。
 政府内のある原子力専門家は「PSAによる評価の重要性は、ある程度分かっていたはずだ。保安院の対応は信じられない」と話している。
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