[2011_10_13_02]17世紀、千島で大地震か 北大教授が痕跡確認 三陸北部に大津波(東奥日報2011年10月13日)
 北海道東部を高さ20メートルの巨大津波が襲った17世紀初頭、道南や三陸北部に大津波が到達した可能性を示す堆積物を北海道大の平川一臣特任教授(地形学)が発見したことが12日、分かった。同時期の津波堆積物は北方領土の色丹島や道東、三陸南部でも確認されており、約1500キロにわたり大津波の痕跡が続くことが判明。千島海溝周辺で連動型の超巨大地震が起きた可能性が出てきた。
 東北では1611年に慶長三陸地震と大津波が発生。道東の地震とは別に起きたと考えられていたが、平川特任教授は「北海道沖から北方領土沖で発生した巨大地震による津波が、三陸にも到達した可能性が高い。関係地域は防災対策を急ぐべきだ」としており、東日本大震災の復興計画にも影響を与えそうだ。
 平川特任教授によると、渡島半島の北海道森町で2001年、海岸沿いの崖から津波堆積物層を複数発見。1層は1640年に近くの駒ヶ岳が噴火で崩壊、海に落ちた土砂で発生した津波堆積物のすぐ下にあり、17世紀初頭とみてほぼ間違いないという。当時の高さ約5メートル地点にあり、津波の高さはそれ以上と推測される。さらに今年、岩手県宮古市田老地区の標高17メートルの谷底や、宮城県気仙沼市と本県東通村の海岸でも17世紀初頭とみられる堆積物を確認した。
 慶長三陸地震は文献から、高さ数メートルの津波が3回来襲、伊達政宗領内で約1800人が死亡するなど福島県以北の三陸沿岸が大きな被害を受けたことが分かっている。震源は三陸沖北部とされるが、津波到達が地震の最も大きい揺れから約4時間後と遅かったことから、疑問の声もあった。
 一方、当時の道東には文献がなく、約20メートルの津波痕跡が確認されたのはわずか13年前。ここ十数年の津波堆積物の調査で過去約6500年間に十数回、約300〜500年おきに大津波に襲われたことが分かってきた。
 平川特任教授は「千島海溝周辺の巨大地震なら、全ての堆積物の分布や三陸への津波到達が遅かったことも理解できる。前回から約400年がたっており、次がいつ起きてもおかしくない」と話した。
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