[2011_09_27_02]過去最大級も想定へ 「歴史地震」を考慮 中央防災会議最終報告案(東奥日報2011年9月27日)
 東日本大震災を受けて地震・津波対策を検討している政府の中央防災会議専門調査会(座長・河田恵昭関西大教授)の最終報告案が27日、明らかになった。想定する地震や津波の規模について、従来は発生確度が低いとして除外してきた「歴史地震」も考慮し、千年に一度の最大クラスに広げる方針を強調。住民避難を軸に「取り得る手段を尽くした総合的津波対策の確立」を求めた。携帯電話で一斉に津波警報を伝達する仕組みや、逃げ込むための避難ビルの整備促進を求めている。

 28日に開く会合で正式決定する。政府は年内をめどに国の防災基本計画を改定し、津波による浸水予測図や避難勧告に関する各ガイドラインなども見直す方針だ。
 報告案は防災対策の基礎となる被害想定に関し、震災を教訓に発電所や浄水場、石油タンクなどの被災規模をより具体化することなどを強弱被害想定から避難など個別対策までの手順を徹底的に見直し、防災対策全体を再構築する必要性を指摘した。
 避難対策では、津波警報の発表を改善した上で、通信事業者と協力して携帯電話で警報を伝えるなど「伝達手段の多重化」を提言。消防団員らが海岸へ行くのを避けるため、沿岸の津波監視システム強化も盛り込んだ。
 5分を目安に避難を完了するため津波避難ビルや避難路・階段を整備。避難用建物は最大クラスの津波でも強度が確保されるよう構造基準の見直しが必要とした。
 過去の津波災害では、利便性を理由に移住先の高台から平地に戻った事例があるとして、条例による土地利用の制限や建築物の構造規制にも言及。自治体の機能喪失や県境を越えた広域避難などに備え、災害対策法制の見直しも求めている。

 最終報告案のポイント
@発生確度が低いとして想定から除外してきた「歴史地震」も考慮し、最大クラスに広げる
@住民避難を軸に、取り得る手段を尽くした総合的津波対策を確立
◎被害想定から避難など個別対策までの手順を徹底的に見直し、防災対策全体を再構築
◎被害想定は発電所や浄水場などの被災規模をより具体化
◎携帯電話で一斉に津波警報を伝えるなど伝達手段を多重化し、避難ビルの整備を促進
◎自治体の機能喪失や広域避難に備え、災害対策法制を見直す

歴史地震

 観測装置が未整備だった時代に起き、古文書などに残る地震。資料の分析、津波堆積物や海岸地形の調査などにより解析する。国は従来、震度や津波の高さなどの再現が困難として、被害想定の対象から外してきた。東日本大震災の場合、貞観地震(869年)や慶長三陸地震(1611年)、延宝房総沖地震(1677年)との関連が指摘されている。
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