[2011_09_10_01]給水ポンプのモーター、津波で水 「電源復旧でも使えず」 福島原発事故 東電が全体報告書(東奥日報2011年9月10日)
 東京電力は9日、福島第1原発事故当時の状況や対応を報告書にまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。地震後の津波で、非常時に原子炉に注水するために重要な1〜4号機の給水ポンプのモーターが水をかぶり、「電源が仮に復旧したとしても、機能を回復できる状態になかった」としている。
 東電はこれまで運転データや地震の観測記録、津波の評価などテーマごとに保安院に報告していたが、事故全体の報告書をまとめたのは初。
 報告書によると、地震と津波で電源が喪失したほか、重要なポンプが故障。1、2、4号機で中央制御室の計測機器が使えなくなり、3、5号機も非常用バッテリーだけを頼りに監視作業を強いられた。原子炉の熱を海に逃がす海水ポンプはl〜6号機全てで故障、1〜5号機では注水、冷却設備が全て使えない状態となった。このため「(復旧に向けた)対応は非常に困難な状態だった」と強調した。
 原子炉格納容器の損傷を防ぐために高圧の蒸気を排出する「ベント」では、試みた1〜3号機とも難航。3月12日午前、1号機原子炉建屋で東電社員1人が、短時間で106・3ミリシーベルトという高い線量の被ばくをした。2号機では格納容器の減圧を確認できないままで、ベントに失敗したとみられる。
 原子炉と同様に冷却機能を失い、燃料の溶融が心配された1〜4号機の使用済み燃料プールは、地震の揺れや原子炉建屋の爆発、水の蒸発によって一時的に水位が低下したとみられるが「燃料の露出はなかったと考えられる」と結論づけた。
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