[2011_04_06_01]「東北に巨大地震」予測していた 地震調査本部 福島県に説明直前(読売新聞2011年4月6日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 国の地震調査研究推進本部が、宮城県沖から福島県沖まで連動する巨大地震を、長期評価の対象に追加し、今月公表する方針だったことが分かった。大津波を伴う約1150年前の巨大地震の全休像が最近明らかになってきたためで、同本部は宮城県には2月に事前説明を終え、福島県にも3月中に説明する予定だった。公表を目前に東日本大震災が起きたことに対し、専門家からは「想定されていたより大きい地震が発生する可能性を、事前に伝えておけば……」と悔やむ声も出ている。
 同本部では2005〜09年度、宮城県沖で起きる地震を重点調査。古文書の記録で知られていた869年の貞観地震は宮城県−福島県沖の長さ200キロ、幅100キロの断層がずれたマグニチュード(M)8クラスとみられ、津波により宮城−福島県沿岸部の内陸3〜4`まで浸水していたことを地質調査やコンピューターの想定実験で明らかにした。東日本大震災の浸水域は最大5キロ程度。
 調査ではまた、貞観地震の前後400〜500年の地層にも、津波の痕跡とみられる堆積層が見つかった。
 長期評価ではこれまで、宮城県沖で発生する地震については、三陸沖南部海溝寄りの領域の地震との連動しか想定していなかったが、調査結果を受けて福島県沖を含む三つの領域内での連動を新たに加えることにした。今月にも公表する予定だったが、東日本大勇災(M9.0)は三陸沖、茨城県沖も含み、さらに広い範囲で連動したため、長期評価は根本的な見直しを迫られている。
 巨大地震の可能性に迫りながら、長期評価や防災対策に生かせなかった点について、長期評価の部会委員を務める松沢暢・東北大教授は「想定された宮城県沖地震よりも大きな地震が過去に起きていたことを事前に伝えられず、後悔している。ただ、今回の震源域は長さ450キロで、貞観地震を上回る規模だったと考えられる。世界中の地震学者が想定しない領域でM9の巨大地震が起きたメカニズムを、しつかり調べたい」と話している。

長期評価
 東日本大震災のようなプレート境界で発生する海溝型地震や、内陸部の活断層で起きる地震について、過去のデータなどから地震の規模や一定期間内に発生する確率を予測するもの。海溝型は全国6地域の約30の地震について、評価している。宮城県沖M7.5前後の地震は30年以内に99%の確率で発生し、三陸沖南部海溝寄りと連動するとM8.0前後が同80〜90%としている。

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