[2003_12_05_01]珠洲原発(石川)を凍結 3電力 市長に報告 事実上断念、初の自主撤回(東奥日報2003年12月5日)
 
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珠洲原発(石川)を凍結 3電力 市長に報告 事実上断念、初の自主撤回

 関西電力、中部電力、北陸電力の三社長は5日午前、石川県珠洲(すず)市役所を訪れ、三社共同で進めてきた珠洲原発の建設計画を「凍結」すると貝蔵治市長に伝えた。電力需要の低迷に加え、計画を遂行すれば巨額な費用負担などから電力自由化への対応が困難になるため、事実上の断念を意味する申し入れとなった。
 政府が特に大事な電源として指定する「要対策重要電源」の原発では、住民の反対で撤回した中国電力の豊北(山口県豊北町)、中部電力の芦浜(三重県南東町と紀勢町)に次いで三件目の断念。電力会社側の経営判断に基づく自主的な計画撤回は初めて。
 推進派住民に配慮し計画を「凍結」すると伝えたが、三電力は2004年度の電力供給計画に珠洲を盛りこまないと正式に表明。計画は実質的に中止される。
 申し入れの席上、中部電の川口文夫社長は「厳しい経営環境から凍結せざるを得ないとの結論を出した」と説明。これに対し貝蔵市長は「住民の方への言葉が見つからない。地域振興のため三社に努力していただきたい」と支援要請を求めた。
 申し入れ後の記者会見で北陸電の新木富士雄社長は、計画断念の理由について電力需要の低迷、電力自由化の進展、用地取得が困難な地元の情勢−の三点を指摘した。
 関電の藤洋作社長を含む三氏は同日午後、石川県の谷本正憲知事にも計画凍結を報告する。
 珠洲原発は、市の要望を受け1975年に構想が浮上。86年に三電力が、市内二か所に一基ずつ原発を作る計画を発表した。89年には立地可能性調査を始めたがすぐに中断、進展がなかった。

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