[2009_08_11_01]御前崎など震度6弱 駿河湾地震M6.5 81人けが 東名・牧之原で崩落 浜岡原発 自動停止 東海地震とは別 気象庁会見(中日新聞2009年8月11日)
 
 11日午前5時7分ごろ、焼津市や御前崎市など静岡県内で震度6弱の地震があった。気象庁によると、震源地は駿河湾で、震源の深さは約23キロ。マグニチュード(M)は6・5と推定される。静岡県の正午現在のまとめによると、落下物が当たったり、転倒したりした重軽傷者は81人。このうち、焼津市で女性(43)が骨盤を骨折するなどして2人が重傷という。屋根の崩落など一部損壊した家屋は、牧之原市590棟、御前岬市175棟など計973棟に上った。
 気象庁は「東海地震の想定震源域付近で発生したことから、地震や地殻変動の観測データの推移を注意深く監視する」と観測情報を発表。東海地震の危険性を検討する地震防災対策強化地域判定会は委員打ち合わせ会を開き、阿部勝征会長は記者会見で「異常に大きい地殻変動は出ていないが、もう少し周辺の様子を見たい」と述べた。気象庁はマグニチュードや発生メカニズムから「想定される東海地震ではない」との見方を示している。
 警察庁によると、死者、行方不明者の情報はない。静岡県内のほか、愛知県内で五人が負傷したほか、横浜市の女性(22)がベッドから落ち、頭を切る重傷。政府は首相宮邸に対策室を設置。静岡県も災害対策本部を設けた。
 中部電力によると、御前崎市の浜岡原発4、5号機が地震のため自動停止したが、外部への影響はない。地震発生直後、静岡市や掛川市内などを中心に計約950戸が停電した。
 東海道新幹線は始発から東京一名古屋の上下線などで運転を見合わせたが、午前8時に運転を再開した。
 東名高速道路は、牧之原市で、斜面が約100メートルにわたって崩落。静岡県警によると、東名高速上り線の菊川インターチェンジ付近でも、道絡が五〜10センチ隆起した状態になっているのが見つかった。静岡空港では管制塔の室内照明器具が落下するなどしたが、運航に支障はなかった。牧之原市の相良港の岸壁が50センチ沈下。御前崎港の岸壁も長さ50メートルにわたって10センチ沈下した。
 静岡市内で火災一件が発生したが、間もなく鎮火。伊東市川奈でがけ崩れ、掛川市で土砂崩れなどの情報がある。気象庁は伊豆諸島と静岡県に一時津波注意報を出し、静岡県の焼津などで最大60センチの津披が観測された。
 静岡県には台風9号が接近しており、東海では二時間に50ミリの非常に激しい雨の恐れがある。

 浜岡原発 自動停止

 中部電力は11日、地震発生を受け、浜岡原発(御前崎市)4、5号機が原子炉を自動停止したと発表した。地震による自動停止は初めて。震度6弱の揺れは1976年の1号機の営業運転開始以降、最大だった。外部に影響はなく、状態は安定しているという。
 3号機は定期検査で停止中、1、2号機は廃止措置準備中で運転を終了している。
 地震で自動停止する揺れの強さ(加速度)の設定値は、水平方向120ガルだが、計測した最大加速度は5号機426ガル、4号機163ガル、3号機147ガル、1、2号機109ガルだった。各機とも火災報知機の作動はなく、燃料プールの水があふれることもなかった。
 自動停止した4、5号機は、原子炉内の冷却が正常に進み、炉内水温100度未満にする冷温停止に向けた操作をしている。
 最も揺れの激しかった5号機では地震発生時、原子炉建屋5階の燃料交換エリアで一時的に放射能が高くなる警報が作動。通常の10倍程度だが人体に影響はないレベルという。
 発電所内は、震度6弱以上で自動発令する第三次非常体制で、約700人の全所員を動員した。被害などの確認に丸一日はかかる見込み。

 東海地震とは別 気象庁会見

 11日朝の駿河湾を震源とする地震は、想定される東海地震とは違うメカニズムで発生した。だが、震源は東海地震の想定震源域の中にある。東海地震を起こすプレート境界にも近い所で大きめの地震が起きたことが、どう影響するのか。最終的に「東海地震に結び付くものではない」との結論を下した。
 「東海地震そのものではない。想定されるマグニチュード(M)8クラスより、Mが1以上小さい。この地震と東海地震との関係は検討中」。気象庁で緊急会見した関田康雄・地震津波監視課長は説明した。
 東海地震は、沈み込むフィリピン海プレートと陸側のプレートの現界面がずれ動く「逆断層」型。今回の地震は、駿河湾の海底下に北東と南西から圧縮する力が加わって起きた「逆断層」型だが、「横ずれ断層」的な動きも含まれていた。
 逆断層の角度や、力の働く向きも東海地震とは違うことから、気象庁は、異なるメカニズムで発生したとみている。.横田崇・地震予知情報課長は「メカニズムが全く同じではないので、全く同じメカニズムの地震が起きた場合よりは影響が少ないと思う」と話していた。
 もし、東海地震の前兆となるようなプレート境界のゆっくりした滑りが始まっていれば、東海地域のひずみ計でとらえる可能性がある。「そうした変化がないか最終確認している。数日かかるとは思っていない」とした。
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