[2009_04_03_01]原発耐震性、見直し要請も データや分析 不十分 保安院 安全性確認「厳格に」 追加調査 拙速にはせず(静岡新聞2009年4月3日)
 
 電力会社などは各地の原発の耐震性について、2006年に改定された国の耐震指針に照らしても安全性は確保されていると経済産業省原子力安全・保安院に報告したが、保安院による検証作業の中で周辺活断層による地震の想定が小さい例やデータが不十分な例が判明。保安院は、評価結果が妥当と言えない原発は見直しを求めている。
 07年の新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が損傷、各地の原発の耐震性に不安が高まったが、すべての原発で保安院が安全性を確認するには、まだ時間がかかりそうだ。

 ■追加調査

 耐震指針は国の原子力安全委員会が06年、最新の知見を反映させて初めて本格的に改定した。原発周辺にある活断層の長さや敷地への影響、未知の活断層による地震などを検討し、起きると想定される地震による最大の揺れの強さ(基準地震動)を策定。この地震動をもとに耐震安全性を確保するよう求めている。
 保安院の指示を受け、電力会社などは昨年3月までに柏崎刈羽原発を除き、新指針に基づく評価結果を報告した。活断層を従来より長いと評価するなどし、すべての原発で基準地震動を引き上げたが、施設の安全性は確保されるとした。補強工事をする原発もあった。報告内額は、保安院が設置した専門家らによる検討会で審議。
 保安院によると、データや分析が不十分で、掘削調査や、海域の断層を調べる音波探査などを追加で実施するよう指示した原発も多い。また、地下構造と揺れの増幅の関係など、中越沖地震で得られた知見を反映させた安全性解析を電力会社などに求め、作業が長期化しているという。

 ■拙速にはせず

 これまでに福井県の若狭湾周辺に集中する原発について、保安院は周辺にある複数の活断層が同時に動く可能性を考慮する必要があると指摘、関西電力などは基準地震動を再度引き上げた。九州電力玄海原発でも、中越沖地震の知見を考慮し、基準地震動をさらに大きくした。保安院への報告後に断層を長く評価し直す原発も増えている。
 保安院は昨年秋までに安全性碓認を終える予定だったが、今年3月までに報告内容は妥当との結論をまとめたのは北陸電力志賀原発と中国電力島根原発だけ。ほかに地震後停止中の柏崎刈羽7号機について、安全性は確保されるとした東電の報告を妥当と判断、原子炉起動を了承している。
 指針改定から二年以上が経過し、安全委は1月、検討を急ぐよう保安院に要請。保安院は「できるだけ早く結果をまとめたいが、拙速、中途半端にはやれず、厳格に進めたい」としている。
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