[2009_03_09_01]三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価の一部改訂について(地震調査委員会2009年3月9日)
 
参照元
三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価の一部改訂について

※引用者注:以下は東日本大震災に対応する長期評価の部分を抜粋したものである。



(前略)
(2)三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震*2)
 三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域については、過去にM8クラスの地震が幾つか知られている。そのうち1933年の三陸沖のものはプレート内で発生した正断層型の地震であり性質が異なるため次の項目で扱うこととし、ここではそれ以外の大地震を評価した。
 日本海溝付近のプレート間で発生したM8クラスの地震は17世紀以降では、1611年の三陸沖、1677年11月の房総沖、明治三陸地震と称される1896年の三陸沖(中部海溝寄り)が知られており、津波等により大きな被害をもたらした。よって、三陸沖北部〜房総沖全体では同様の地震が約400年に3回発生しているとすると、133年に1回程度、M8クラスの地震が起こったと考えられる。これらの地震は、同じ場所で繰り返し発生しているとは言いがたいため、固有地震としては扱わなかった。三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震の発生領域、震源域の形態、発生間隔等は表3−2にまとめた。



*2
「津波地震」とは、断層が通常よりゆっくりとずれて、人が感じる揺れが小さくても、発生する津波の規模が大きくなるような地震のことである。この報告書では、Mt の値がMの値に比べ 0.5 以上大きい(阿部,1988)か、津波による顕著な災害が記録されているにも係わらず顕著な震害が記録されていないものについて津波地震として扱うことにした。1896 年の明治三陸地震津波を引き起こした地震が津波地震の例として有名である。
(後略)

注1:評価の信頼度は、評価に用いたデータの量的・質的な充足性などから、評価の確からしさを相対的にランク付けしたもので、AからDの4段階で表す。各ランクの一般的な意味は次のとおりである。
 A:(信頼度が)高い B:中程度 C:やや低い D:低い

 評価の信頼度は、想定地震の発生領域、規模、発生確率のそれぞれの評価項目について与える。なお、発生領域の評価の信頼度ランクの具体的な意味は以下のとおりである。分類の詳細な方法については(付表)を参照のこと。

発生領域の評価の信頼度
A:過去の地震から領域全体を想定震源域とほぼ特定できる。ほぼ同じ震源域で地震が繰り返し発生しており、発生領域の信頼性は高い。

B:過去の地震から領域全体を想定震源域とほぼ特定できる。ほぼ同じ震源域での地震の繰り返しを想定でき、発生領域の信頼性は中程度である。または、想定地震と同様な地震が領域内のどこかで発生すると考えられる。想定震源域を特定できないため、発生領域の信頼性は中程度である。

C:発生領域内における地震は知られていないが、ほぼ領域全体もしくはそれに近い大きさの領域を想定震源域と推定できる(地震空白域*1)。過去に地震が知られていないため、発生領域の信頼性はやや低い。または、想定地震と同様な地震が領域内のどこかで発生すると考えられる。想定震源域を特定できず、過去の地震データが不十分であるため発生領域の信頼性はやや低い。

D:発生領域内における地震は知られていないが、領域内のどこかで発生すると考えられる。ただし、地震学的知見が不十分なため発生領域の信頼性は低い。

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