[2007_09_21_01]柏崎原発敷地内 断層地下探査を開始 火災の変圧器搬出 「中越沖」揺れ電力会社検証 全原発で最大想定突破(新潟日報2007年9月21日)
 
 東京電力は20日、中越沖地震で想定を超える揺れに見舞われ、火災や放射性物質を含んだ水が漏れるなどの被害が相次いだ柏崎刈羽原発の敷地内と周辺陸地の地下探査を開始した。また地震発生直後に火災が起きた3号機所内変圧器を移送するための搬出作業を行った。

 地下探査は、原発周辺に活断層があるかどうかを調ベ、新たな耐震安全性評価作りに反映させるのが目的。原発耐震設計審査指針の改定を受け、昨年秋から原発敷地内と周辺四カ所(総延長27キロ)で実施したが、地震発生を受け調査範囲を大幅に拡大した。
 今回の調査範囲は、原発東側にあり、マグニチュード8・0程度の地震を起こす可能性が指摘されている「長岡平野西縁断層帯」周辺など計18カ所(総延長約110キロ)で、来年三月末までをめどに行う。さらに敷地内の17カ所程度でボーリング調査も行う。地下探査は、起震車が搭載した大型バイブレーターで地面に小さな振動を与え、その振動の伝わり方を路肩に設置した地震計で測定し、地下構造を探る。
 初日は原発敷地内で起震車二台を使用。海岸沿いに1キロ弱、深さ最大2キロ程度までを調べた。敷地内の今回の探査は24日までの予定。東電は既に、原発周辺の海底断層の調査を進めている。
 一方、火災が起きた3号機所内変圧器の搬出が20日、公開された。変圧器は高さ6.6メートル、幅5.6メートル、奥行き4.2メートル。重さは57トン。ダクトとの接続部などには燃えてすすけた跡が黒々と残っていた。
 作業では、トレーラーに載せられた変圧器をクレーンで2メートルほどつり上げ、原発構内専用港に停泊した運搬船に移した。船は同日夕に出港。変圧器は製造元の東芝浜川崎工場(神奈川県)に運ばれ、分解検査される。

 「中越沖」揺れ電力各社検証 全原発で最大想定突破

 七月に起きた中越沖地震の際の東京電力柏崎刈羽原発の揺れは、全国のすべての原発と一部の原子力施設で設計時に想定した最大の地震による揺れ(基準地震動)を上回ったことが二十日、各電力会社などの国への報告で分かった。
 各社は「設計には余裕を持たせており、想定を超えても安全上重要な機器が壊れて機能が損なわれる恐れはない」と強調。経済産業省原子力安全・保安院も「安全性を示す結果だ。昨年改定された国の耐震指針に基づいて進めている耐震性再検討をしっかりやってほしい」としている。
 しかし、「これ以上は起き得ない」としていた基準地震動を実際の地震の揺れが超えたことで、設計時の想定の妥当性や信頼性があらためて問われる。耐震性再検討にも影響がありそうだ。
 各社は「柏崎刈羽とは地盤や構造が異なり、同様に揺れるかは不明」とし、補強が必要かどうかは耐震性再検討の中で判断したいとしている。
 検証対象は、柏崎刈羽を除く全原発四十八基と、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場と高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設(青森県)、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)。柏崎刈羽1、4号機で得られた揺れのデータを各施設の基準地震動と比較した結果、程度は違うが、いずれも想定を超えた。
 原発の機器や建物ではそれぞれ、影響を受ける揺れの周期(固有周期)が決まっており、安全上重要な機器、建物ごとに固有周期を比較した結果、東電福島第一1号機の原子炉圧力容器で約一・五倍、同福島第二4号機の残留熱除去系設備の基礎分では約四倍に達していた。
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