[2007_07_19_02]人の不幸を教訓にしない人々(少彦梛の内憂外患2007年7月19日)
 
参照元

人の不幸を教訓にしない人々

今回の中越沖地震で被災された方々へ、心からお見舞い申し上げます。

さて、今回の地震で「柏崎刈羽原発」でトラブルが次々発覚し、管理区域外への放射能漏れまで引き起こしている。
昨年3月、金沢地裁が、耐震想定が不十分などとして志賀原発の2号機の運転差し止めを命じる判決を下し、今年3月の能登半島地震では志賀原発1号機は周期0.625秒の揺れで711ガルを記録(想定は374ガル)したことが4月に判明している。
つまり、東京電力は、昨年3月の金沢地裁の判決時、遅くとも能登半島地震発生時には「地震発生時の原発設備に与える危険性」の検討に着手する機会があったはずである。
確かに、建物や原発設備を今日明日にも新しい耐震基準に合うように補強することはできないが、明日にも起こりうる地震が発生した場合に想定される被災内容と、その場合「どのように対応するか」の対策は確立できたのではないか。 ところが、東京電力はほとんど全てのトラブルに対して「想定外であった」としているようだ。
そうであるなら、東京電力の危機管理能力はあまりにもお粗末である。
志賀原発の一件(運転差止め、能登半島地震の解析)を「他社のこと」と捕らえていて、自分達は大丈夫と楽観していたことが想像される。

東京電力の社長は、マスコミから社長としての責任を問われたが、「今後原発を安全にするのが私の責任」といった主旨の返答をした。 しかし、今社長に問われていることは「これまで、何の対策も講じてこなかった」責任ではないだろうか?

話は逸れるが、今回の地震で柏崎刈羽原発へ視察に行った総理大臣と経済産業大臣は「何を見」「何を確認」に行ったのか、官房庁長官は何を根拠に「放射能漏れは無い」と言ったのか、こちらも政府としての危機管理能力の欠如をもっと問われるべきだろう。
ちなみに、地震による被災にあった現地では今、日本国政府の立てる対策より、自主的に現地に駆けつけた他県からの応援やボランティアの方々の活動や各企業からの支援物資の方が「今は何よりありがたい」のである。

KEY_WORD:NOTOHANTO_:基準地震動:CHUETSUOKI_: