[2006_10_19_01]伊方原発 耐震安全性再評価へ 指針改定受け四電 国に実施計画書 3号機 08年7月までに報告 全国11事業者も提出 伊方沖活断層(愛媛新聞2006年10月19日)
 
 原発の耐震設計審査指針の改定を受け、四国電力は18日、伊方原発(西宇和郡伊方町)の耐震安全性を再評価する手法と工程を示した実施計画書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。新たな基準地震動を策定し、放射性物質を含む原子力圧力容器をはじめ安全上重要な機器や配管などが揺れに耐えられるか調査。プルサーマル計画が進む3号機は2008年7月までに、1、2号機は09年3月までに結果を国に報告する。

 伊方原発の前面海域には中央構造線の伊方沖活断層があり、断層面積や破壊伝播速度などから算出する「断層モデル」と、地震規模と震源からの距離に基づく「応答スペクトル」の二種類の手法で敷地内の最大の揺れを検討。政府の地震調査委員会の知見も踏まえ、本年度中をめどに基準地震動を決める。
 指針改定では、原発周辺に震源断層が見つからない場合の一律基準「直下型でマグニチュード(M)6.5(370ガル相当)」が廃止され、電力業界では「M6.8程度(450ガル相当)」に引き上げる案が浮上している。四電によると、同案や、近い将来の発生が予想される南海地震などを考慮しても、伊方沖活断層による地震規模が最も大きく、既に最新の知見で再評価しているため、新たな基準地震動は「従来の473ガルと同じか、少し上回る程度」と見込んでいる。
 基準地震動決定後、建物への揺れの影響を解析し、機器や配管ごとの耐震性を評価。新指針では緊急炉心冷却装置や格納容器排気筒などの重要度を格上げしており、補強工事を行う可能性もあるという。2010年度までのプルサーマル導入を目指す3号機は、県が事前了解文書でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料装荷までに再評価結果を確認するとしており、1,2号機より早く報告する。
 想定を上回る揺れで炉心損傷や放射性被ばくなどが起きる「残余のリスク」についても発生確率を求め、再評価後の早い段階で報告する。07年9月に運転開始から30年を迎える1号機の高経年化対策も見直す。
 四国電力は伊方沖海底探査が既に進んでいるとしてボーリングなどの地質調査は行わないが、「適正な評価を行い、必要に応じて耐震性向上工事を実施、耐震安全性に対する信頼性を一層向上させる」としている。

 全国11事業者も提出

 国の原発耐震指針が9月に改定されたのを受け、原発や再処理工場などの原子力施設をもつ電力各社、日本原子力研究開発機構、日本原燃の12事業者は18日、既存施設での耐震安全性評価計画書を、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。保安院は評価が終了したものから順次、確認する方針。
 計画によると、施設敷地やその周辺での地質調査を先行し、耐震設計の基準となる地震の揺れを設定し直す。その上で、原子炉や建屋、冷却系統など安全上特に重要な機器や施設を中心に、この揺れで安全性が保たれるかどうかを評価する。
 地質調査は「過去に十分実施した」としている四国電力伊方原発を除き、中部電力浜岡原発と北陸電力志賀原発の今年12月を皮切りに、2007年秋までに終える。これに続く安全性評価は、浜岡3、4号機が今年12月と最も早く終わり、ほかの施設も10年末の中国電力島根原発3号機(建設中)までに終了する見通しだ。
 耐震性の不備を理由に金沢地裁で運転差し止め判決が出ている志賀2号機について北陸電は、新指針に沿って耐震性を向上させるエ事を実施すると表明した。

伊方沖活断層
 日本最大級の活断層である中央構造線断層帯の一部。四国電力は伊方原発3号機増設時に「1万年前以降の活動はない」と主張。岡村真高知大教授らが「約2000年間隔で活動」と発表し、基準地震動を見直した経緯がある。政府の地震調査委員会が03年2月に公表した長期評価では、伊方沖活断層を含む「石鎚山脈北縁西部ー伊予灘」区間が動いた場合、規模は「マグニチュード(M)8.0程度かそれ以上」としている。

※上記本文に関連する長期評価のサイト

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