[2006_09_19_04]「耐震設計審査指針」の改訂を機に実施を要望する既設の発電用原子炉施設等に関する耐震安全性の確認について(平成18年9月19日 18安委第60号)(PDF:17KB)(原子力安全委員会2006年9月19日)
 
参照元
「耐震設計審査指針」の改訂を機に実施を要望する既設の発電用原子炉施設等に関する耐震安全性の確認について(平成18年9月19日 18安委第60号)(PDF:17KB)

[ 18安委第60号
平成18年9月19日
原子力安全委員会決定 ]

 当委員会は、本日、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」をはじめとする原子力施設の耐震安全性に関する記述を含む指針類についての改訂等を行うとともに、今後は、耐震設計方針に関する安全審査を行うに当って、新たな指針類を用いることとした。今回の指針類の改訂等は、地震学、地震工学等の最新の知見とこれまでの安全審査の経験の蓄積に基づいたものであることはいうまでもない。
 もとより、発電用原子炉施設をはじめとする原子力施設の耐震安全性の確保に関しては、安全審査において妥当性が確認された耐震安全性の基礎となる基本設計ないし基本的設計方針が適切に具体化されることに加えて、それに続く詳細設計、建設工事、さらには地震時における運転管理等における各種対策が適切かつ確実に実行に移されることによって、高い信頼性を伴って具体化されるものである。
 既設の原子力施設の耐震安全性については、個別の安全審査において、それぞれ申請時における最新の科学技術的知見に基づく厳正な判断に基づき、耐震安全性を確保するための基本設計ないし基本的設計方針の妥当性が確認され、さらに所定のいわゆる後段規制の適用のもと、運転段階における耐震安全性の確保が図られてきたところである。
 ところで、原子力施設の安全性については、運転管理に直接携わる原子炉設置者等の原子力事業者のみならず、安全規制を担当する行政庁及び当委員会においても、常に最新の科学技術的知見に照らし合わせて、更なる安全性の向上に努めていくことが重要である。
 そこで、当委員会は、この度の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」をはじめとする原子力施設の耐震安全性に関する記述を含む安全審査指針類についての改訂等を契機に、既設の原子力施設について、これらの改訂等がなされた安全審査指針類の規定内容を踏まえた耐震安全性の確認を実施することが、我が国の原子力施設の耐震安全性の一層の向上に資するものであり、国民への説明責任の観点から意義深いものと認識するものである。
 なお、今般改訂等がなされた「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」をはじめとする原子力施設の耐震安全性に関する記述を含む安全審査指針類については、今後の安全審査等に用いることを第一義的な目的としており、指針類の改訂等がなされたからといって、既設の原子力施設の耐震設計方針に関する安全審査のやり直しを必要とするものでもなければ、個別の原子炉施設の設置許可又は各種の事業許可等を無効とするものでもない。すなわち、上述の既設の原子力施設に関する耐震安全性の確認は、あくまでも法令に基づく規制行為の外側で、原子炉設置者等の原子力事業者が自主的に実施すべき活動として位置づけられるべきであるものの、当委員会としては、既設の原子力施設の耐震安全性の一層の向上に資する観点から、行政庁による対応について、その着実な実施を特に求めるものである。
 また、既設の原子力施設の「残余のリスク」に関する定量的評価については、確率論的安全評価(PSA)に代表される最新の知見に基づいた評価手法を積極的に取り入れていくことが望ましいと考える。

 当委員会としては、既設の原子力施設に関する耐震安全性の確認については、下記の方針で対応を行うこととする。また、行政庁においても、同方針に沿って適時・適切な対応をするよう要望する。



1.行政庁においては、原子炉設置者等の原子力事業者に対し、改訂された「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の内容に照らして、既設の原子力施設の耐震安全性の評価の実施に関する要請(具体的な確認方法の内容、確認を完了する時期等を事業所毎に明示した実施計画書の作成を含む。)を行うとともに、実施計画書についてはとりまとめ次第速やかに、耐震安全性の具体的かつ詳細な評価結果については(その評価手法も含めて)その妥当性に関する確認を行ったうえで、当委員会に報告すること。

2.当委員会としては、上記1.の耐震安全性の具体的かつ詳細な評価結果に関するその妥当性の確認についての行政庁からの報告に関し検討することとする。

3.なお、既に運転を最終的に停止するなど、内蔵する放射性物質の外部への放散を仮定しても周辺の公衆に過度の放射線被ばくを及ぼすおそれがないことが明らかな施設については、この限りではない。

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