[2006_06_12_02]九州・中四国、震度5弱 静岡まで広範囲に揺れ 「異常震域」遠くても強い揺れ(朝日新聞2006年6月12日)
 
 各地の主な震度は以下の通り。
 震度5弱 大分県佐伯市、愛媛県今治市、八幡浜市、伊方町、西予市、広烏県呉市▽震度4 大分市、宮崎市、松山市、広島市、島根県吉賀町、岡山市、香川県多度津町、高知県宿毛市、山口県岩国市、熊本県阿蘇市など▽震度3 兵庫県豊岡市、鳥取市、徳島市、北九州市、佐賀県神埼市、鹿児島県鹿屋市など。
 今回の地震は、探さ約146キロ、深く挑み込むフィリピン海プレートの内部で起こった。内陸の浅い地震と違い、プレート付近の深い地震は、プレートを伝わって揺れが遠くまで伝わりやすい。
 地震は一般的に、震源の真上の震央で揺れが強く、震央から離れると震度は同心円状に小さくなるが、今回は、震度の大きい地域が東に偏った。震央により近い福岡市が震度2なのに、震央から離れている愛媛県今治市や広島県呉市で、震央近くの大分県佐伯市で観測された震度と同じ震度5弱を観測した。このように、震源から遠くても、震度が震源に近い場所より大きくなる地域は「異常震域」と呼ばれる。
 防災科学技術研究所の小原一成・地震観測データセンター長によると、地震波が硬いフィリピン海プレートに沿って、あまり衰えないまま、東に伝わったため。逆に西側は、地震波が軟らかいマントルを通って衰え、震度は小さくなった。
 東京大学地震研究所の吉村孝志助教授は「周期の短い地震波がプレート沿いに東へ強く伝わり、人が感じやすい小刻みな揺れをもたらした。さらにプレート内で散乱して、揺れの時間が長くなった。地震規模の割に、広い範囲で強く長い揺れを感じることになった」と指摘する。(瀬川茂子)
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