[2005_06_23_01]日本海溝震源 20メートル級津波の恐れ 中央防災会議予測 三陸・北海道東部(朝日新聞2005年6月23日)
 北海道から千葉県沖の太平洋に延びる日本海溝・千島海溝周辺で予想される地震対策を検討する政府の中央防災会議・専門調査会(溝上恵座長)は22日、防災対策が必要な8つの地震を想定し、揺れや津波の高さなどをまとめた。うち2つの地震では、大規模な津波が起きると考えられ、いずれも北海道の東部や岩手県で20メートル前後の津波が地震発生から30分程度で押し寄せるとされる。大津波が想定される自治体では、避難場所や避難方法の検討が迫られることになる。
 調査会は、同海溝周辺で、過去に起きた十数個.の地震の揺れや津波の到達地点などを調査。周期的に起きている地震のうち今後も起きると予想される8地震を防災対策を検討すべき対象とした。
 八つのうち大規模な津波が起きると想定されるのは、1896年の「明治三陸地震」と同じ型の地震。三陸海岸を中心とした東北地方の広い範囲で5メートル以上の津波が押し寄せ、岩手県宮古市で約22メートル、大船渡市で約21メートルの津波があるとした。
 同海溝周辺で500年間隔で起きている「500年間隔地震」が発生した場合も、北海道の日高地方東部から根室地方南岸にかけてのほとんどの地域で5メートル以上の津波があり、えりも町で約18メートル、広尾町で約16メートルの津波が来ると予想される。
 津波の高さはいずれも平均潮位で、各地の津波は早ければ30分程度で押し寄せる恐れがある。
 調査会では、満潮時の津波の高さも推計する。津波が海岸線を超え「陸側のどのくらいの地域まで達するのかも調べる。
 想定によると、揺れが最も大きくなるのは「十勝沖・釧路沖」と同じ型の地震で、北海道日高、十勝地方の一部で震度6強を予想している。
 同海溝型地震の対策については04年に特別措置法が成立。今年10月1日までに施行される。国は特措法に基づき、地震対策を進める推進地域の指定、災害を抑えるための基本計画策定を進める。  (大久保泰)。

 日本海溝・千島海溝周辺地震

 海側の太平洋プート(岩板)が陸側の北米プレートに沈み込み起きる地震。1896年の明治三陸地震(マグニチュード8・5の津波で約2万2千人、1933年の昭和三陸地震(同8・1)の津波で約3千人の死者・行方不明者が出ている。

   防災対策の検討対象として想定される8地震 
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対象とする地震     規模(M) 最大震度(場所)
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択捉島沖の地震    8.4     8弱(択捉島)
色丹島沖の地震    8.3     6弱(色丹島)
根室沖・釧路沖の地震 8.3     6弱(根室周辺)
十勝沖・釧路沖の地震 8.2     6強(十勝地方)
500年間隔地質(津波) 8.6     ー
三陸沖北都の地震   8.3〜8.4   6弱(下北半島)
官城県沖の地震    7.6〜8.2   6弱(仙台平野)
明治三陸地震(津波) 8.6     ー
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(ーは、揺れの想定せず)
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