[2004_12_27_01]国際警報システムなし インド洋 太平洋地域と格差 日本各地でも地震波を観測(朝日新聞2004年12月27日)
 環インド洋諸国の間には、環太平洋のような、津波情報を国際的に伝える仕組みがないことが、26日のスマトラ島沖の地震による被害を拡大させた。インドやスリランカ、アフリカなど震源から離れたところでは、人々は地震が起きたことさえ知らずに、突然、襲来した津波にのまれたようだ。
 今回の地震は、日本で繰り返されてきた東海や東南海、南海地震と同じプレート境界型の地震。陸側のプレート(岩板)に海側のプレートが沈み込むことで地殻にひずみのエネルギーが蓄えられ、発生する。
 海底地下で起きるため、海底地形の変化にともなう津波が発生しやすい。高さ4メートルの津波が起きた昨年の十勝沖地震(マグニチュード8・0)も同じタイプだ。
 太平洋には、南米沖やアリューシャン海溝など、同様の地溝が起きる海域が多く、60年のチリ地震(同9・5)で日本にも津波が押し寄せたように、太平洋の対岸の国々にまで被害を及ぼすことがある。このため、国際間の情報交換システムが整備されている。
 気象庁によると、太平洋地域には、26カ国・地域がメンバーとなった津波警報組織がある。津波を起こすような地震が発生すると、ハワイにあるセンターに情報を送り、各国に配信するシステムが整備されている。インドネシアも北側の太平洋側なら、情報が入るが、インド洋側は監視網の外になってしまうという。
 日本で「発生から3分」を目標に出している独白の警報についても、同庁地震津波監視課の山本雅博課長は「インドネシアでは30分以上かかると聞いている」と指摘する。
 また、情報網の整備が進んでも、海域は観測網を陸上ほど充実させることができず、震源の位置決定などの精度がよくない。このため、気象庁や中国地震局、韓国気象庁は10月に長官会合を開き、地震や潮位データ、地震津波情報の迅速な提供・交換などの協力を進めることを決めた。
 ただ、震源に近い海岸には発生直後に津波が達するため、海岸付近にいて大きな揺れを感じた時は、すぐに高台に逃げる、といった基本的な防災知識・意識の浸透も明暗を分ける。

 日本各地でも地震波を観測

 インドネシア・スマトラ島沖で発生した地震の本震(M9・0)や余震の波形は、5千キロ以上離れた日本の各地の地震計でも観測されていた。人が揺れを感じたり高層ビルが揺れたりする周期よりも長い周期の地震波だったため、実際の揺れは観測されなかったという。
 気象庁によると、余震域は距離にして約1千キロにわたる大きさだという。日本で言えば、関東から九州にかけての広域が震源となった格好だ。
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