[2004_09_06_01]近畿で震度5弱連続 津波観測 広い範囲で揺れ 「未経験の状況」気象庁(朝日新聞2004年9月6日)
 5日午後11時57分ごろ近畿から東海地方にかけて強い地震があり、三重県松阪市や香良洲町、和歌山県新宮市で震度5弱を記録した。気象庁は「1メートルの津波が予想される」として、三重県南部と愛知県の外海に津波警報を出した。同7時7分ごろにも、奈良県下北山村や新宮市で震度5弱を観測する地震が起きていた。2回の地震で、関東から九州の広い範囲にかけて揺れがあった。いずれも震源は紀伊半島沖で、震源の深さは約10キロと浅かった。2度目の地震の規模はマグニチュード7・3、最初の地震は6・9と推定される。震源は東南海地震の想定震源域の南約10〜20キロ。
 2度目の地震の後、和歌山県串本町で86センチ、三重県尾鷲市で61センチの津波を観測した。津波警報とともに、千葉県から四国にかけての太平洋側に津波注意報も出された。最初の地震では、気象庁は四国から東海地方の太平洋沿岸や伊豆諸島、小笠原諸島に津波注意報を出した。神津島で50センチ、南伊豆町の石廊崎で30センチの津波が観測された。同庁によると、最初の地震の震源は、紀伊半島沖約110キロのフィリピン海プレートの内部という。マグニチュード8クラスの東南海地震の想定震源域の10〜20キロ南側だが、沈み込んだプレート間で起きる東南海地震のタイプとは異なるという。

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 2度にわたった大きな揺れの影響で被害が相次いだ。大阪府堺市築港新町3丁の「田中亜鉛鍍金(メッキ)」では6日午前0時すぎ、工場内の容器(約100立方メートル)から、500度近くに熱せられた亜鉛がこぼれ、工場の休憩所10平方メートルが焼けた。
 三重県尾鷲市は住民に高台への避難勧告を出した。京都市伏見区で自宅にいた89歳の女性が転倒して頭を打ち、病院に運ばれた。そのほか、大阪府堺市の女性(26)が自宅階段で転倒するなどした。名古屋市内などでも負傷者が相次いだ。

 「未経験の状況」 気 象 庁

 気象庁の山本雅博・地震津波監視課長は6日未明、この夜2度目の会見を気象庁で開いた。
 「経験したことのないような状況。地殻変動がどのように推移するのか注意深く確認していく」。
 マグニチュード8クラスの東南海地震との関連を聞かれ、明確な答えは示せなかった。3時間余り前、最初の地震の後では「(東南海地震への)トリガー(引き金)にはならない。震度4程度の余震はあるかもしれない」と説明していた時に比べ、表情は厳しかった。
 二つの地質の震源は近いものの、2度目の地震のマグニチュードの方が上回った。「どちらが本震なのか」との記者の質問にも「現段階で判断するのは困難」と説明した。
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