[1997_12_30_01]加賀−福井−濃尾平野 巨大活断層帯が存在 金大、京大がデータで裏付け 福井地震や19日の「加賀沖地震」の原因 日本屈指、長さ百数十キロ 関係機関、監視を強化(北国新聞1997年12月30日)
 加賀市沖から福井、濃尾平野にかけて日本屈指の巨大活断層帯が存在することが29日までに、金大理学部、京大防災研究所による過去3年間の地震活動データでほぼ裏付けられた。今月19日に起きた加賀市沖を震源とする地震もこの断層帯が原因と推定され、両大学の地震研究者は百数十キロに達するとみられる断層帯の監視活動を強化する一万、石川、福井、岐阜など各県の共同調査の必要性を指摘している。

 金大理学部などが指摘する活断層帯の上では明治24(1891)年に死者七千人余を数えたマグニチュード(M)8・0の濃尾地震、昭和23年にはM7.1の福井地震が発生している。
 濃尾地震では断層が一部地表に露出し、福井地震でも断層の存在をうかがわせる地割れが見つかったが、これらが一連の断層帯か否かは山間部の調査が難しいため確定されていなかった。
 金大理学部の河野芳輝教授(北國総研研究員)の研究グループは京大防災研の地震活動データを基に、平成7年6月から今年10月まで、震源が地下30キロ以上の無感の微小地震を含むすべての活動を記録した。その結果、濃尾平野から加賀市沖を南北に走る線上の周囲に地震活動が集中している実態が改めて浮かび上がった。
 阪神大震災を起こした断層でも数10キロの長さだが、この断層は百数十キロに及ぶことや過去に世界最大級の濃尾地震が発生していることなどから、河野教授はこの断層帯が日本屈指の規模である可能性が大きいとしている。
 阪神大震災の教訓から各都道府県では部市直下型地震につながる活断層の「危険度診断」が実施され、石川県内でも金沢市の森本、富樫断層の調査が進められている。巨大断層帯が北陸に地震をもたらす不気味な存在として浮かび上がったことで、河野教授は「県境を越える断層帯であり、一県単位の調査では限界がある。今後は科学技術庁が中心となった広域的な調査が必要だ」と話している。

[ 過去3年間の地震活動 ]
 点線は日本屈指とみられる活断層帯の推定位置
 ○印は大きさによって地震の規模を示している
 (黒い部分は地震が集中した地域〉
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