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参照元
地表の地震断層と地下の震源断層


※引用者注:p26〜27を抜粋、
 このような地裂線は、それをさかいとして土地が系統的にくいちがっているので、地質学でいう断層の一種です。このばあいのように、地震のときに地表に出現した断層のことを地質学者は古くから「地震断層」とよんできました。地表で観察されたということがだいじなので、「地表」をつけて「地表地震断層」ともいいます。大部分の地震断層は、震源断層の一部あるいは大部分が地表まで達したものと思っていいでしょう(図10)。震源断層につながらない根無しの地震断層もあるかもしれませんが、一般に小規模です。わたしたちは、このような一貫した性質をもつ地裂線を震源域で見つけたとき、それは地震波をおこした地下の震源断層の一部が地表に現れた地震断層であると考えます。
 地震断層は、これまでにも日本列島の直下でおこった大地震(ふつうM7前後以上)のときに現れています。濃尾地震のときの根尾谷断層はその好例ですが、それ以後にも、1896年陸羽地震(M7.2)、1927年北丹後地震(M7.3)、1930年北伊豆地震(M7.3)、1943年鳥取地震(M7.2)、1945年三河地震(M6.8)などのときに明瞭な地震断層のことがあらわれました。最近では、1974年伊豆半島沖地震(M6.9)の地震断層があります。このときの震源は、地震の名前とちがって、伊豆半島南端に近い陸地にある石廊崎断層でした。今回の兵庫県南部の地震断層は、伊豆半島沖地震以来の久しぶりの地震断層です。

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