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川内原発:差し止め認めず 新規制基準「不合理と言えず」(崎山敏也)


「川内原発運転差し止めの仮処分請求 福岡高裁が退ける!判決理由のポイント」崎山記者 文字起こし 2016年4月6日

https://youtu.be/97BDTKqU_1M

「川内原発運転差し止めの仮処分請求 福岡高裁が退ける!判決理由のポイント」崎山記者 文字起こし
2016年4月6日

川内原発運転差し止めの仮処分請求 福岡高裁が退ける!判決理由のポイントは。

鹿児島県にある九州電力の川内原発1号機と2号機について、鹿児島熊本宮崎3県の住民12人が運転差し止めの仮処分を求めた申立てについて、福岡高裁宮崎支部は今日、それを退ける決定をしました。
西川知一郎裁判長は原発の新規制基準や原子力規制委員会の判断が不合理とは言えないと判断。
住民側は最高裁に特別抗告する方針です。
原発の運転差し止めをめぐっては大津地裁が先月福井県の関西電力高浜原発3号機と4号機について差し止めの仮処分を認める決定をしたため、国内で稼働している原発は川内原発だけとなっています。
原発の運転差し止めを求める裁判、今回の判断のポイントなど、TBSラジオの崎山敏也記者に伝えてもらいます。

Q:崎山さん、まず今回の争点は何がどうなっていたことなんですか?

崎山敏也:
住民側が問題視していたのは3つでして、
まず一つは新しい規制基準というものが安全を守るのに十分なのか?
そしてその新しい規制基準で審査した原子力規制委員会のやり方はちゃんとやれていたのか?と。
特に、やはり地震津波。
中でも基準地震動と言われて、その原発の建っている土地で一番強い地震があったとしたらどれくらいか?それに耐えうる建物にしなければいけないということで、まずこの地震を中心とした新しい規制基準のことが一つの争点ですね。

それからこれは川内原発に独特のものですけれども、川内原発の周りには数万年から数10万年に一回、超巨大噴火。
大きなカルデラを作ってしまうような、阿蘇山のようなですね。
ああいう噴火を起こす可能性のある火山があると。
その火山から本当に安全と言えるのか?
あるいは対策は取られていると言えるのか?

それから3番目が避難計画が十分とは言えないという指摘があるんだけれども、それでも動かしていいのか?と。
この三つですね。

Q:で、今回の判断というのは、結局全部住民の訴えを退けたという…

崎山:
基本的にはそうなんですけれども、ただ、まず新しい規制基準については、これまでに退けた判断と大体同じで、「新しい規制基準というのは特に不合理な点はない」と。
「ちゃんと地震の計算もされている」と。
そしてそれを審査した原子力規制委員会の判断も特におかしくはないと、単純にきているんですが、
実は火山の方での決定分を見てみますと、
「現在の科学的技術的知見を持ってしても、原子力発電所の運用期間中にある火山が噴火する可能性、あるいはその時期や規模を的確に予測することは困難である」と言わざるを得ないから、火山ガイドというのがあるんですけど、これは新しい規制基準で火山のことを考えるガイドラインですが、「火山ガイドの定めは内容は不合理である」と。
つまり規制基準の火山についての部分はちょっと不十分だと言っているのですが、そう言いながら、「ただ少なくとも我が国においてはもう何万年に一遍。少なくとも歴史時代において経験したことのないような危険性については、建築規制をはじめとして相当の根拠がない限りは特に考慮しないのが実情であって、これは原発にも当てはまる社会通念がある」と。
つまり、「何万年に1回とかというのは、確かに我々がビルを建てようとしてビルを建てる時に10万年に一回の地震がということを考えないのは普通ですよと。それを原発に当てはめてもいい」というふうに読めるんですよね。
それが果たして、んー、ちょっとこの判断は、これは私は疑問を持つところですが、
裁判所としては、「火山ガイドは不十分だ」と言いながらも、その判断は、今回の判断については少なくとも「不合理な点はない」にしたんですね。

それからこれは同じく、避難計画についてもなんですけれども、避難計画についてもですね、
「避難計画にはいろんな問題点がある」と。
「避難体制、避難手段、避難先の確保など、あるいは避難車両の燃料補給、いろいろあるが、だからと言って住民の避難計画が全く存在しないというふうなことと同じに見ることはできない」

Q:(苦笑)何だか苦しいですね

崎山:
なので、直ちにこの避難計画が不十分だから、訴えた人たちの人格権、自分の生命や身体に関わる権利ですね。
そういったものを侵していると、侵害しているということはできないというような言い方をしているんですね。
だから、「不十分なことがあることは認めるが、現時点での判断ではこんなもんじゃないですか」と言っているようにも読めますが。
私がやや批判的に読んだ読み方ですけどね。

Q:崎山さん、原発を止めた大津地裁がありましたね。あの判断とどの辺りが違うんですけ?

崎山:
火山はこの場合大津地裁高浜原発は入っていないのでなんとも言えないんですけど、避難計画については大津地裁は「国がちゃんと避難計画を作るべきだ」と。

Q:そうですよね。

崎山:
で、「規制基準にも避難計画を入れて審査するべきだ」ということを言っていましたし、地震動についてはいろんな意見がある中、「関西電力も説明が尽くされたとは言えない」と言っているので、これは明らかに全く違います。
ほぼ同じことを論じているんですが、もう正反対の結論が出たことになりますね。

Q:ですよね。そうすると今後どういう動きになっていくんでしょうか?

崎山:
それが、いま30件ぐらいの原発関係の裁判というのが全国でいま起こされているんですけれども、実はこの宮崎高裁、他にも大飯原発の名古屋高裁とかいろいろあるんですが、川内原発の福岡高裁のやつは、たぶん住民が特別抗告して、最高裁に行くでしょう。
そうすると、福島第一原発の事故があって初めて、最高裁が原発というものをどう我々が判断するべきなのか、司法というものが。ということを考えることになるんですね。
その最初の例になる可能性があるので、これは大変注目の裁判になるはずです。

Q:そうですね。

崎山:
まちがいないです、はい。
その時に是非いろんな、反対賛成いろんなのがありますから、公平に最高裁は見て欲しいですね。

Q:そうですね。

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