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福井県内再稼働、当面困難か 高浜原発3号停止、大飯も厳しく

 大津地裁の運転差し止め仮処分決定を受け関西電力高浜原発3号機が10日、運転を停止し、福井県内原発は再び「稼働ゼロ」となった。関電は不服申し立てをする方針だが、異議審は少なくとも半年程度はかかるとみられ3、4号機の停止は続く。2基とともに関電が早期の再稼働を目指す大飯3、4号機も年内は厳しい見通しで、県内の原発は当面動かない状態が続く可能性が高い。

 県内原発で現在、原子力規制委員会の安全審査を受けているのは6基。規制委の田中俊一委員長は、大津地裁の仮処分決定に関し「新規制基準が世界最高レベルに近づいているという認識を変える必要はない」と述べ、新基準に基づく審査を続ける方針だ。

 関電が審査を受けている原発5基のうち、早期の再稼働を目指しているのが大飯3、4号機。新基準対応の基本設計部分に当たる設置変更許可の審査は「すでに大半が完了している」(関電)といい、新年度の前半にも規制委から事実上の合格を受けたいと期待している。ただ、その後の審査手続きや耐震工事に時間がかかるとみられ、年内に再稼働の条件が整うのは厳しい情勢だ。

 大飯に関する訴訟は、本県住民らが運転差し止めを関電に求めた控訴審など4件が係争中。福井地裁の高浜3、4号機運転差し止め仮処分の申立人の一人は「仮処分の申し立ては今後どんどん出てくる。裁判官の判断に左右されるが有効性は増した」と話す。大飯の2基も司法判断の行方が注目されることになりそうだ。

 一方、関電が原則40年の運転期間を延長して再稼働を目指す高浜1、2号機は、2月に規制委が事実上の合格を認める審査書案を決定した。7月7日の審査期限までに運転延長などの認可を受ける必要がある上、対策工事に3年以上かかる。仮に審査に合格したとしてもすぐに再稼働できない。

 同じく40年超運転を目指す美浜3号機は審査期限が11月末に迫り、規制委は期限切れのリスクを再三指摘。耐震工事も膨大な量が見込まれ、再稼働はまだ見通せない。

 関電は高浜3、4号機が稼働しなくても当面の電力の安定供給に支障はないと説明。火力発電で再び賄っていくことになるが、点検を先延ばしして乗り切ってきたため、今夏の需要期は綱渡りとなりかねない。

 県内原発ではほかに、日本原電敦賀2号機が審査申請中。規制委の有識者調査団が原子炉建屋直下に「活断層」があると指摘しており、審査の過程で覆せない場合、廃炉を迫られる。工事の完了時期も20年6月までかかるとしている。

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