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高浜1、2号機の「40年超」認可差し止めを 住民、名古屋地裁に提訴へ

 運転開始から四十年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)をさらに二十年運転させる原子力規制委員会の延長認可の差し止めを求め、福井県や東海地方の住民が四月中にも、国を相手に行政訴訟と仮差し止めの申し立てを名古屋地裁に起こすことが分かった。老朽化による安全性低下を争点とする方針で、相次ぐ原発訴訟の新たな流れを生みそうだ。

 老朽原発をめぐっては、東京電力福島第一原発事故後の二〇一二年、原子炉等規制法の改正で「四十年で原則廃炉」と規定されたが、規制委は今月二十四日、関電が1、2号機で予定する安全対策が新規制基準に適合するとの審査書案を全国に先駆けて了承。運転期間満了の七月七日までに規制委が延長を認可すれば、対策工事を施した上で最長六十年の運転が可能になる。

 原告団と弁護団は「延長運転後に事故が起き重大な損害が生じる恐れがある」として規制委に認可を出さないよう訴え、認可が出された後は取り消し処分を求めて争う方針。老朽化した1、2号機の原子炉圧力容器では、核燃料から放出された中性子を受け続けたことによる劣化現象が起こるため、原子炉等規制法に基づく技術基準を満たさない、と主張。規制委による審理でも問題化した、重要機器をつなぐケーブルの防火策の不備も訴えるという。

 福島事故後は立地自治体以外の裁判所での原発訴訟が増えているが名古屋地裁では初めて。高浜原発をめぐっては昨年四月、福井地裁が1、2号機の約十年後に稼働を始めた3、4号機の運転を禁止する仮処分を出したが同十二月の異議審で地裁の別の裁判長が仮処分の取り消しを決定。3号機は今年一月、4号機は今月二十六日に再稼働した。

 福島事故では放射性物質が広範に飛散し、政府が半径二百五十キロ圏内の住民への避難指示を検討していたことも判明。原告が勝訴した福井地裁での大飯3、4号機訴訟の判決では、同キロ圏内の住民の原告適格性が認定され、福井県内の原発に対する訴訟が隣接する大津、京都地裁で相次いで提起されるなど、県境を越えた法廷闘争が繰り広げられてきた。

 名古屋は高浜原発の約百三十キロ南東に位置し、季節風の風下に当たる。

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