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原子力規制委員長 川内原発の運転止める必要ない


熊本県などで活発な地震活動が続いていることを受けて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、稼働中の川内原子力発電所について、「不確実性があることも踏まえて評価しており、想定外の事故が起きるとは判断していない」として、今のところ運転を止める必要はないという考えを示しました。

記者会見では、気象庁が今後の活動について正確な予測ができないとしていることから、予防的に止めることはないのかと質問が出されました。
これに対し、田中委員長は、川内原発の審査の過程で今回の震源とみられる布田川・日奈久断層帯の地震を含め、不確実性があることも踏まえて評価しているとして、「川内原発で想定外の事故が起きるとは判断していない」と述べ、今のところ、川内原発の運転を止める必要はないという考えを示しました。
今後の地震対応については、「法律上、安全上、懸念がある場合は止めることができるが、今のところ科学的根拠がない。大きな地震を起こす震源と原発の距離が重要で、原発の間近で大きな地震が起きたのであれば行政で止める判断もありえると思う」と述べ、今後の地震の動向を注視する考えを示しました。
また、川内原発より震源に近い熊本県益城町では、防災科学技術研究所の分析で1580ガルの地震の揺れが観測されたことが分かっていますが、川内原発で想定される最大規模の地震の揺れが地下の岩盤の部分で620ガルとされていることについても質問が出されました。
これに対し、原子力規制庁の担当者は、観測された場所や周辺の地質によっては揺れが増幅されることもあるとして、今後分析する考えを示し、これを受けて田中委員長は「地質構造などいろんなことが影響するので一概には評価できないが、今判断を変える理由はないと思う」と答えました。

川内原発の「基準地震動」とは
原子力発電所であらかじめ想定する最大規模の地震の揺れは「基準地震動」と呼ばれ、これを基に原子炉建屋や冷却設備など重要な施設の地震対策を取ります。
新しい規制基準では、原発の周辺にあるすでに存在が分かっている活断層による地震の揺れと、存在が分かっていない活断層による地震が起きた場合の揺れのいずれについても、過去の地震や周辺の地質構造を調べて、基準地震動を決めるよう定めています。
川内原発の場合、まず、存在が分かっている活断層による地震の想定では、熊本地震の震源とみられる布田川・日奈久断層帯を含めて検討が行われ、原発の南に20キロほど離れた断層を震源とする地震の影響が最も大きいとして、基準地震動を540ガルとしました。
また、存在が分かっていない活断層による地震の想定では、震源に近い観測点で比較的精度の高いデータが得られ、地質学的にもありうるケースの地震として、2004年に起きた「北海道留萌支庁南部地震」の記録を基に最大の基準地震動を620ガルとして妥当とされました。「北海道留萌支庁南部地震」のケースでは、震源に近い地表の観測設備で1127ガルという揺れが記録され、地下の固い岩盤の表面での揺れは585ガルと推計されています。九州電力はこの評価結果を参考に不確実性があることも踏まえて620ガルという値を導き出したとしています。
これに対し、川内原発の運転停止を求めて訴えを起こしている住民側は、日本の原発では過去5回、基準地震動を超える地震の揺れが実際に観測されているとして、「川内原発の基準地震動は過小評価されていて、安全性が確保されていない」などと主張しています。
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