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鹿児島県知事三反園氏への期待 「脱原発は経済にもよい」というグランドデザインを示して 県民の合意を作って行くことが必要 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕

◯ 鹿児島県知事に三反園氏が就任し川内原発の稼働が改めて問われているが、知事として地域経済との関係についても戦略的に配慮してほしい。
◯ 産業連関分析の手法で試算すると、川内原発の稼働(福島事故前)により付加価値(県GDP)で670億円、雇用で約4,000人の効果をもたらしている。これはいわゆる波及効果すなわちよく言われる地元の飲食業や宿泊業への波及効果も合計した数値である。原発推進派は、川内原発が止まったらこれが消失するから大変だろうと脅かすわけである。
◯ しかし、川内原発の鹿児島県経済への貢献は、GDPで全体の1%程度、雇用で全体の0.5%程度にすぎない。雇用のほうが影響が少ないのは、発電事業は巨大な設備集約型の産業であって、人手はあまりいらないからである。以前に福井でも検討されたことがあるが、原発の主要部分は東京のメーカーが握っていて地元には補助的な仕事しか回ってこないので産業の育成になっていない。
◯ 一方で同じように産業連関分析の手法で試算すると、県内の各産業分野で自給率を1〜2%増加させただけで川内原発再稼働の経済効果を軽く上回る付加価値と雇用創出が得られる。「自給率」というと通常は農林水産業を連想するかもしれないが製造業でもサービス業でも自給率はある。逆にいえばTPPなどを導入すれば川内原発再稼働の経済・雇用効果など簡単に吹き飛んでしまう。
◯ 実際に知事に就任すれば原発問題だけに集中することはできないし、むしろ足をすくわれるきっかけになりかねない。「脱原発は経済にもよい」というグランドデザインを示して県民の合意を作って行くことが必要だ。これはオール沖縄で保守系の支持も集めているのと同じ背景があり、米軍基地を廃止して別の目的に使ったほうが経済効果が高いという説明ができるからである。

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