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原子力規制委員会記者会見録

●日時:平成25年3月13日(水)17:30〜
●場所:原子力規制委員会庁舎記者会見室
●対応:田中委員長他
<質疑応答>
○司会 それでは、時間になりましたので、只今より、原子力規制委員会の定例の会見を始めたいと思います。本日は、特に委員長から御発言はございませんので、皆様方からの御質問をお受けしたいと思います。質問のある方は挙手の上、マイクが届いてから所属とお名前をおっしゃって御質問をお願いします。お二人はやる気満々で、最初に早かったのはそちらですね。
○記者 ネオローグのコジマです。よろしくお願いします。3月10日にNHKと専門家の解析で、事故当時、3号機の消防車による注水が復水器に漏れて、これによってメルトダウンが防げずというような解析結果が出ているのですけれども、これに関して例えば大飯原発3号機、4号機などの再起動に関しては安全性の根拠として、こういった緊急の対策として消防車を配備するなどの対策が行われています。これに関してですけれども、この配管に関して、これはテストをしなければ、消防車の配備したものの注水が効果的かどうか疑問が残ると思いますが、これに関して、大飯の3、4号機は今、動いていますが、これに対して何か規制委員会の方で停止などを含めて対策をやる予定はあるのかということと、以前準備しているとおっしゃっていましたが、この事故調査に関して、規制委(原子力規制委員会)の方で今回のような再現実験などを含む事故調査に関して行う予定があるのか。今、準備段階と言っていましたけれども、どのような段階にあるのか。あと1点。7月までに策定予定の新安全基準への影響はどういうものがあるのか。この3点についてお聞かせください。よろしくお願いします。
○田中委員長 大飯3、4号機については、今の段階で止めるというのは、前から申し上げましたように、新しい基準ができてきた時にそこで判断をするということです。ただ、基本的に旧保安院(旧原子力安全・保安院)時代になりますけれども、昨年の4月に再起動を政府が決定した時には、それなりの対策がとられているのは承知していますが、新しい基準と照らしてどうだということについては、今後の課題だと思っています。
○記者 今回、つまり大飯の再稼働の基準となったものの対策の一つが効果的でないという可能性が出たのですけれども、これに対して何か規制委の方で対策するということは特にないということですか。
○田中委員長 効果的でないというのは、どういう意味ですか。
○記者 つまり、そういったテストなどを行うように指導するとか、消防車による注水が効果的であるかというテストをしなければ分からないと思うんです。
○田中委員長 それもどうするかいうことですけれども、効果的でないという判断はどこから出たのかがよく分かりません。
○記者 3月10日のNHKのスペシャルで、専門家とNHKが解析をしていたのですけれども、それは御覧になっていない感じですか。
○田中委員長 見ましたけれども、効果的でないというのも、あくまでも。
○記者 可能性があるという話ですけれども。
○田中委員長 今、基本的にはそういう炉心溶融を防ぐためには冷却水をからさないようにするということで、いろいろな方法で注水するための電源のバックアップとかそういうこともされていると思いますし、今後それは求めていくわけですね。だから、大飯のことと福島のことと同じではない。炉型も違いますし、状況が違いますので同じではないので、そこは一概にここでどうこうという判断は、私はできないです。
○記者 今後何かそれに対して求めるということも、まだ今のところは考えていないということですか。
○田中委員長 それは新しい基準に基づいてです。事故調査については再現実験ということかどうか知りませんけれども、できるだけ、いわゆる事故調査の見解の分かれているところもありますし、今後の廃止措置のためにもどういう状況になっているかということも把握しなければいけないこともありますので、その状況を見ながら、進展を見ながら、やれないことも多いですから、実際にこれからやるとなると原子炉の建屋とか格納容器は中に入れるような状況ではありませんから、そういうことを踏まえて計画をきちんと立てて、長期にわたると思いますが、やっていきたいと思っています。
○記者 現段階では、まだその準備段階ということですか。
○田中委員長 そうですね。でも、そんなに遅くない時期にある程度の調査には着手したいと思っています。新安全基準の影響というのは、今のところはある程度これまでの状況を踏まえて、いろいろな対策をトゥーマッチと言われるぐらい要求をするという形になっていますので、今のところは事故調査の方から何かやらないと分からないということはないと思っています。よく議論されるのは地震とか津波ですけれども、これについても、今日も今、議論されていると思いますが、新しい基準で新たな基準地震動とか基準津波を想定して、それに対する対策を求めていくということですから、それは各サイト、各炉を元にそれが要求されることになりますので、そこは福島のことが分からなくても基本的には大丈夫です。
○記者 分かりました。ありがとうございます。
○司会 では、そちらの前の方。
○記者 雑誌科学のタナカと言います。4つ質問をさせていただきます。第1に規制委員会の掲げる、人と環境を守るというところの人とは誰のことであるのか、改めて伺いたく存じます。国会事故調が規制の虜として明らかにしたように、従前は事業者と旧規制庁が活断層の値切り、耐震安全審査指針改定の先送り、基準地震動の値切り、防災指針改定の先送りを行ってきた事実を踏まえてお答えください。
○司会 すみません。ゆっくり簡潔におっしゃっていただけますか。
○田中委員長 「人」は何も議論がないです。国民です。住民です。
○記者 ありがとうございます。第2に、被ばくによる健康被害の高リスク群である原発作業員の方の待遇、健康管理、治療、補償について委員長のお考えをお聞かせください。委員会が施設の安全に関わる事項に勧告権を持つことを踏まえて、安全の中軸たる。
○司会 ゆっくり質問だけおっしゃっていただければと思います。
○記者 作業員の労働環境は安全の中軸だと思いますので、そうした作業員の待遇、健康管理、治療、補償について今後検討、勧告の見通しをどのようにお考えか御教示ください。
○田中委員長 作業員の安全を管理するというか、安全を確保するということは大事なことだということです。ただ、規制委員会がそれをやるというよりも、今の法律のたてつけから言うと厚生労働省の労働安全衛生法の中でそれが求められているし、待遇とか健康管理とかいうことについて、それは事業者の責任ですので、規制委員会が何か申し上げることはありません。
○記者 それは分かりますけれども、このままでいいのかどうかという問題意識があってしかるべきではないかと思います。
○田中委員長 何か問題があるんですか。
○記者 既に多数報道されているように、労働環境、報酬について十分支払われないという報道は多数ありますし。
○田中委員長 それは規制委員会が申し上げることではないし、規制委員会の所掌の範囲を超えているので、何も申し上げることはありません。
○記者 では、次に被ばく量へのお考えについて伺いたいと思います。国会事故調への虚偽説明と調査妨害事件によって明らかになったように、福島第一原発1号機4階の早急な調査が改めて求められていると思います。事件当初に東京電力が計画線量と示したのは9mSvであり、現在想定される線量は数mSvであるのに鑑みて、委員長がさきの会見で調査を冒険主義的と表現されたことは、このレベルの被ばくが労働安全上、見過ごせないレベルであるとの見識を示されたものと受け止めています。そこで委員長にお伺いしたいと思いますが、同様のレベルの被ばくが現実に一般公衆に見られ、今後も予想される事態にあることをどのように御覧になっているか、所感をお願いいたします。
○田中委員長 今おっしゃった数mSvとか9mSvというのは、何の根拠でおっしゃっているんですか。調査をするということは相当の時間その場所に滞在しなければいけないわけですね。その評価も必要ですし、非常に環境も今は爆発でいろいろながれきもたまっていて、入っていったからといって、入って行ってきましたというだけでは調査にならないわけですよ。そういうことを踏まえて、よくよく検討して、その上でむやみに被ばくなどする必要はないんです。
○記者 おっしゃるとおりですが、東京電力が元国会事故調委員の田中氏に示した時の計画線量は昨年2月の段階で9mSvでした。現在はより下がっておりますので、数mSvというレベルになると思います。そこでお伺いしたいと思います。
○田中委員長 それは私は別に承知していないですけれども、国会事故調と東電のやり取りについてはどうなるかは分かりません。ただ、調査をするとなると、単に行って見てきただけでできるとは私には思えないから、そういうことも踏まえてきちんとどういうところを、どこをどう見るのかという原因をはっきりさせるために調査をしなければいけないわけでしょう。
○記者 おっしゃるとおりです。それで委員長はさきの会見で、現在お仕事がたくさんあるので、事故調査については4月以降になるであろうという見通しをおっしゃいましたが、それであれば、現在、外部有識者等にこの調査を開いて、早急に行う必要があるのではないでしょうか。
○田中委員長 今、早急にしなければいけないという判断は、私自身はそんなに急いでやらなければいけないということではないと思っていますけれども、順番というのもありますしね。それに何かできるかというと、できるような状況ではないので、何ができるかということについて、今、検討しているわけです。
○記者 例えば残されている放射性核種の分析などは、事故進展の解析にとって非常に重要になると思いますが、それは作業のために片付けられてしまうと分からなくなってしまうおそれがあります。こういう指摘が研究者から挙がっております。いかがお考えでしょうか。
○田中委員長 御承知なのかどうかは分かりませんけれども、核分裂生成物はものすごい種類があるんですね。そんなものを片付けようといったって、そんなに簡単に片付かないです。そのことが事故の解明に支障を来すということには、私は専門家としても思えません。
○記者 ありがとうございます。では、最後の質問、第4番の質問をさせてください。昨年10月29日付で新潟県の泉田知事から委員長宛てに出された質問状に対して、2月6日の規制庁から知事への回答は、具体性を欠き、正対したものになっていないことからお考えを伺いたいと思います。質問状には高放射線量率下での収束作業が必要な場合に労働法制上、民間事業者である電力事業者等の従業員に収束作業の実施を命じることができるとお考えでしょうかという問いがあります。もう一つ、高線量率下で緊急時対応を実施する特殊部隊を国として創設すべきと考えますが、どのようにお考えでしょうかという問いがあります。委員長のお考えをお聞かせください。
○記者 ありがとうございます。では、最後の質問、第4番の質問をさせてください。昨年10月29日付で新潟県の泉田知事から委員長宛てに出された質問状に対して、2月6日の規制庁から知事への回答は、具体性を欠き、正対したものになっていないことからお考えを伺いたいと思います。質問状には高放射線量率下での収束作業が必要な場合に労働法制上、民間事業者である電力事業者等の従業員に収束作業の実施を命じることができるとお考えでしょうかという問いがあります。もう一つ、高線量率下で緊急時対応を実施する特殊部隊を国として創設すべきと考えますが、どのようにお考えでしょうかという問いがあります。委員長のお考えをお聞かせください。
○記者 もちろん簡単ではないですが。
○田中委員長 でも、それが新潟県知事から出されたからといって、私がいちいちそれを答えていく義務があるとは思えません。
○司会 田中さん、ほかにも質問されたい方がいらっしゃるので、よろしいですか。
○記者 最後に1個だけさせてください。事故が起こってから後付けで線量限度を引き上げて、今回では600mSvを超える被ばくをされた方がいらっしゃるわけです。このような後付けで被ばく限度を引き上げて、被ばくしてくださいみたいなことを一般の方にお願いするということはできるのかという質問だと思いますが、どうなんですか。
○田中委員長 一般の方ではなくて、作業員は作業従事者だし、多分そういう場合には人命救助とかいろいろな場合があって、事故が起きた時の状況をできるかできないかということではないんだと思いますよ。そういう杓子定規にそんなことをアプリオリに決めてできるかという、やらないに越したことはないですけれども、そういうことだと思います。
○司会 では、次の方。クツカケさん。
○記者 NHKのクツカケです。地域防災計画についてお聞きします。今月18日が地域防災計画の一応の見直しの目処ということになっていると思いますが、私たちが直近で30km圏内の自治体に聞いたところ、4割の自治体で18日までに修正が終わらないという結果が出ました。お聞きしたいのは、まずこの4割が終わらないということについて、現時点で委員長はどういう御認識があるのかということと、その遅れている理由についてですが、規制委員会の指針の策定が遅れたということもあるんですけれども、それ以上に例えば指針の具体的な内容ですとか、指針が意味していることについて国からの説明が不十分だと言っているような自治体も数多くあります。こうしたことについて、どのような対応をお考えなのかということについて教えてください。
○田中委員長 これも前から申し上げていますけれども、できるだけ早急に作っていただくということで、それは完璧なものでなくても当面は仕方がないとは思いますし、それはよく相談に乗りながら、良いものにしていただくという努力をしてもらうということで、今、各地域にも説明していると思います。説明が足らないというのは確かにそういう面もあるかもしれませんけれども、どういうことが具体的にどういう点で分からないとか、そういう具体的な事例があれば、大体それには丁寧に答えて対応していくという体制で臨んでいます。
○記者 例えば具体的な話ですと、要援護者の方の避難先の施設がなかなか決まらないとか、あるいは避難するための交通手段みたいなものが確保できないというような具体的な課題があるのですけれども、それは自治体で決めろと言えば、その自治体で決める問題なのかもしれないのですが、それに対して規制委員会として何か支援するようなことはあり得るのでしょうか。
○田中委員長 今回の事故の大きな反省としては、私自身はいわゆる要援護者とか病人が放射線の被ばくではなくて、避難ということによって亡くなった方が相当数おられるわけです。あまりむやみに急いで避難することによって、そういう犠牲者を出さないようにするというのが今回の指針の一つの考え方にありまして、できるだけそういう場合には、例えば病院とか老人ホームみたいなところは、その場にいてもあまり大きな被ばくにならないような施設対応もしようということで、今、説明をさせていただいているし、予算もそういうことで確保しようとしています。その辺が避難というか防災と言うと、即、何か遠くに行くと考える。これも致し方ないのですけれども、そうではないということも含めて、いろいろ説明には回っていただいていると思いますが、そういうふうにしたいということです。
○田中委員長 今回の事故の大きな反省としては、私自身はいわゆる要援護者とか病人が放射線の被ばくではなくて、避難ということによって亡くなった方が相当数おられるわけです。あまりむやみに急いで避難することによって、そういう犠牲者を出さないようにするというのが今回の指針の一つの考え方にありまして、できるだけそういう場合には、例えば病院とか老人ホームみたいなところは、その場にいてもあまり大きな被ばくにならないような施設対応もしようということで、今、説明をさせていただいているし、予算もそういうことで確保しようとしています。その辺が避難というか防災と言うと、即、何か遠くに行くと考える。これも致し方ないのですけれども、そうではないということも含めて、いろいろ説明には回っていただいていると思いますが、そういうふうにしたいということです。
○記者 最後に、そうした様々な財政的な支援等もあると思うのですが、今までも何回か質問が出ていると思うのですけれども、実効性の部分は規制委員会としては、ある時点で検証するとかいうのは考えていらっしゃらないのでしょうか。
○田中委員長 そういう意味では、今まで一種の訓練をやって、そういう点で点検していかなければいけないと思うのですが、実効性を高めるということを目指したいと思います。そういう意味では、今までのいわゆる避難訓練がややシナリオに沿って形式的で案18か。
○記者 そうではなくて、浦底はもう分かっていますね。だから3.11の後に、保安院の意見聴取会は、もちろん御存知ですね。
○田中委員長 だから、その方たちがよく調べてくださいということで調べたわけですね。
○記者 それでもって、これから活断層の可能性が高いというような報告書をまとめる予定ですね。有識者会合として。
○田中委員長 それは、私はまとめ方の結論までは、今ここで申し上げることはできない。
○記者 報告書案には、D-1が活断層である可能性が高いと、そういう文言がありますね。
○田中委員長 否定できないということではないですか。
○記者 それでもいいです。
○田中委員長 可能性が高いというよりは。
○記者 分かりました。それについて明らかに科学的な合理性がないと、そういうことをおっしゃっている学者がいます。
○田中委員長 それは、いろいろいるでしょうね、学者の世界だから。
○記者 だから、その世界は、委員会としては、それはもう16人でピュア・レビューもやりましたと、最後は島アさんがまとめますと、ということは結局イグノアなわけですよ、委員会としては聞かないと、そういうことになるわけなのでしょうか。
○田中委員長 多分そこまでは、今の段階では考えていないですね。
○記者 考えていないということは、聞かないということですか。
○田中委員長 聞かないと言うか、科学者であれば、科学的な議論は別に規制委員会に対してではなくたって幾らでも言う機会があると思うのですよ、同じ同業者であれば。
○記者 同業者で、例えば学会なり、応用地質学会とか、そういう学会でどんどんやるのは自由ですけれども、結局、規制委員会が聞かなければ全く意味がないわけですね。
○田中委員長 どうかな、そんなこともないでしょう。
○記者 ということは、それを聞いて何らか考え直すようなことがあるということですか。
○田中委員長 考え直すことがあるかどうかということは、私は何もここで判断することはできないですね。あれだけ十数人の方たちがそういう判断をしたものを、そう簡単に覆るということはあまりないのですね、科学の世界では。
○記者 分かりました。
○司会 では、以上で本日の会見を終わりたいと思います。どうも御苦労様でした。
−了−

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